初値2倍超えも 上場ブームがやってきた!? スマホ、バイオ系企業が躍進

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投資先を厳選するVC

12年に投資先19社をIPOしたベンチャーキャピタル最大手のジャフコ。投資倍率(上場時の初値ベース時価総額/取得原価)はリーマンショック以降1~2倍程度と利益がほとんど出なかったが、足元では2倍超えが目立つ。ジャフコの山田裕介常務は「13年3月期は4~5年の中でいちばんリターンがいい。ただIPO案件は過去には5~10倍取ってきた。2~3倍ではまだ回復途上」と、一段の底上げを目指す。

ジャフコはIPO市場が低迷する中、10年にベンチャー企業への投資方針を変更。それまで年間100社以上に投資していたが、今は厳選して30~40社に絞っている。一方、1社当たりの投資額を大きくして持ち分シェアを高め、投資先の経営に一段とコミットする手法に転じた。こうした方針で育成した企業が今年以降、表舞台に登場する予定だ。

山田常務は「IPO全盛時代は玉石混淆だった。すぐにおかしくなる企業も目立ち、全部がマーケットに出てよかったかは疑問だ。これがIPOの閉塞感につながったことは否めない。今後はしっかりとリサーチして質の高い企業を市場に送り出していく必要がある」と話す。

一方、IPOを目標にしない企業も増えた。ジャフコが12年に手掛けたエグジット(投資資金回収手段)はM&AがIPOを上回った。米国はエグジットの8割がM&Aとされ、IPOはむしろ少数派だ。「昔のようにIPOにロマンを感じる経営者が多いわけではない。日本も少しずつ米国型になりつつある」(山田常務)という。

今年のIPOは60社前後と4年連続で増えそうだ。ただ、それでもリーマンショック前の半分程度にすぎない。野村証券の大村次長は「日本の経済力から見れば100社以上が上場しても不思議ではない。あとは景気次第だ」と指摘する。100社時代が再来する日は来るのか。

(週刊東洋経済 2013年1月12日号

(撮影:尾形文繁)

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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