初値2倍超えも 上場ブームがやってきた!? スマホ、バイオ系企業が躍進
バイオ企業が異例の人気
情報・通信系以外の上場も目立っている。中でも多いのが、ミドリムシを使った機能性食品を製造するユーグレナやインフルエンザワクチンを研究するUMNファーマ、北海道大学発の創薬ベンチャーのジーンテクノサイエンスなどバイオ関連だ。ユーグレナは個人投資家からの人気が高く上場初日に買い気配のまま取引が成立しなかった。出雲充社長(32)は「上場で集めた研究資金を使って、18年までにバイオジェット燃料を実現する」と鼻息は荒い。
投資情報を配信する東京IPOの西堀敬編集長は「これまでのバイオ関連は赤字が続き誰も買わなくなった。だが、iPS細胞によるノーベル賞受賞で世の中が一変し、注目されるようになってきた」と分析する。
製造業の凋落が久しい中、モノづくりの会社も久々に上場して話題を集めた。金型用部品を製造するパンチ工業の森久保有司社長(69)は「創業以来モノづくりにこだわってきた。世界を目指す」と熱い。また実質3度目のIPOとなる強者もいる。カメラや時計など高級中古品をネットと店舗で売買するシュッピンの鈴木慶社長(53)は、ソフマップやドリームテクノロジーズを創業し、連続起業家とも呼ばれている。
地方企業の上場も増えている。モバイルクリエイトは大分県のインキュベーション施設の第1期生。マザーズに加え、地元財界から要請があった福岡証券取引所Qボードへも重複上場した。主幹事を務めた野村証券の大村法生公開引受部次長は「11年のIPOは約7割が東京の企業だったが、12年は5割程度に比率が下がった。さまざまな業種や地域の会社に多様化しており、IPOの活性化につながっている」と話す。
上場が減り危機感のあった東証によるテコ入れ策も奏功した。11年に上場推進部を新設し、全国各地でIPO説明会を開くなど攻めの営業に転じたうえ、12年3月には上場規程も緩和。東証の斉藤惇社長は「制度改正と支援活動の効果が浸透してきた。12年にIPOが増えたのは日本と米国のみ」と胸を張る。
12年は初値が公開価格を平均49%上回り、07年並みの水準に回復。初値が公開価格を下回ったのは46社中9社しかなく勝率は8割を超えた。11年は5割台だったので、市場環境は急速によくなっているといえる。「04年、05年は勝率9割を超え、ファンダメンタルズを見なくても、とりあえず何でも買っておけば儲かる状態だった。今はそこまではないにしても、公募で買って初値で売るIPOゲッターが復活してきた面もある」(東京IPOの西堀編集長)と、過熱感を指摘する声もある。
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