医者に任せっきりの「二流患者」は損をする 最高の医療を受けるには「患者力」が必要だ

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──日米の差は患者力の差だと書かれていますが。

実際には米国の患者だって一流ばかりでは全然ない。ただ米国では、患者力を与えることが重要だという意識を医療側が持っていて、病院全体で患者を一流に引き上げていく仕組みというか、サポートが日本よりはある。まず医者が患者に質問を促します。小児科なら、子供の患者に対し「質問はないか」と必ず聞く。親がいると話しにくいなら席を外してもらう。そうやって医者に質問することが当たり前という感覚を育てていく。そうした中で、優れた患者がキャッチボールを通して育つ可能性が高いというだけ。

 ──日本ではまだ、躊躇してしまう患者も多いかもしれません。

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でも、質問し情報を正しく把握することは、日常生活のあちこちでやっていることでしょう。医者に対してだけ、恐縮して言えないとか遠慮してしまうとか、聖域視する必要はないし、そんな神話はなくさないといけない。医者には説明責任が、患者には医者の言葉を理解しようとする責任があります。

医者が投げたボールをきちんと受け止め、しっかり投げ返す。説明下手だったり面倒がったりするような医者の悪投は「ちゃんと投げて」と投げ返す。大事なのはキャッチボールです。キャッチボールする理由の一つは、相手がまっとうな医者かどうかを見極めることでもある。

患者が要求しないから医者が変わらない

──何といっても「3時間待ち3分医療」の現実があります。

現状のシステムを変えるためには、患者側からの突き上げが必要です。医療側には大きなプレッシャーになる。10年経っても20年経っても何も変わらないのは、誰も要求しないから。もっと説明を受ける時間が欲しい、それが要求である、とわからせないといけない。動かすのは患者団体などではなく、やはり個々の現場です。消費者ベースの市場なのに、消費者が声に出さないから市場ニーズが低い状態のままなんです。

日本のモノやサービスの質が成熟しているのは消費者が要求したから。それと同じ。医療だけを聖域視するのはおかしい。現実に、患者とともに医療を進めていきたいと考える若手や中堅の医者はとても多くなっています。医者が患者の面倒を見る時代から、医者のよさを最大限引き出すために、患者が医者を試し育てる時代へと移行しているのです。

中村 陽子 東洋経済 記者

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なかむら ようこ / Yoko Nakamura

『週刊東洋経済』編集部記者

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