アップルが明かしたiPhone進化計画の全貌 iPhone7に向けては依然としてナゾも
しかし、アップルはある一貫した方策によって、この批判を上手にかわそうとしている。
地図機能はスマートフォンの機能としては、もっとも基本的なものだ。地図はアプリでもあるが、一方でスマートフォンを構成するプラットフォームの一部と捉えることもできる。そこでアップルは、開発者に地図機能と連動する多様なソフトウエアやサービスを作れるようiOS 10で開放する。
前述したレストラン予約やクルマの配車、到着予想時間を検索したうえでの出発時間の通知や、一連の手配を通じてかかる経費の決済をApple Payを使って一括で行う……といった連携は、アプリ開発者側の対応で実現するものだ。地図をインフラとして捉え、連動方法をアプリに開放することでアプリ開発者に、新しいアイデアの実現を促しているわけだ。
iOSの中にさまざまな新しい「機能」を追加し、それぞれがアプリとして機能するよう開発を続けてきたものを、今度はiOSを構成する基盤として取り込み、そこに別のタイプのアプリやコンテンツを呼び込む。
前述したiMessengerも同じだ。他社アプリの模倣と言える部分もあるが、それはアニメーションやステッカーを使ったメッセンジャーサービスが、誰もが知っている当たり前のものになり、iMessengerをインフラとしてステッカーなどのコンテンツインフラと見なせるようになったのだ。もちろん、こちらも開発者向けに開放されている。
似たようなアップデート項目は数多くあり、たとえばSiriは、画像検索サービスや配車サービス、ホテル予約サービス、決済サービス、あるいは照明コントロールアプリなど、サードパーティアプリを通じてそれらのアプリが提供する機能を直接利用できるようになる。
iOSがカバーする機能はどんどん広かる
iOSがカバーする機能範囲は広がり、一部のサードパーティ製アプリはその存在感を失う可能性もあるが、定番機能をアプリとしてだけではなく、基本ソフトが提供するインフラの一部として取り込み、「プラットフォーム」で規定される範囲を広げることで新たなイノベーションを呼び起こそうというわけだ。
新たな方向性という意味では、マイクロソフトやグーグルがそうであるように、アップルもAI技術の積極的な取り込みを行っている。アップルは「AI」という言葉は使わず、「ディープラーニング」というキーワードで、いくつかの機能にAI的推測機能を盛り込むと発表している。
ディープラーニングとは、さまざまな行動の結果を多層的に追跡しながら学習させる手法のことで、iOS 10ではその比較的軽い実装として、「クイックタイプ」という文字入力支援機能などで応用している。
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