「将来が不安」な人こそ仕事がデキる

「一歩上がると、見えへんことがわかるようになるんどす」

まじめで、一生懸命に仕事に取り組むAさんの姿が目に浮かぶようです。Aさん、仕事の能率も下がりがちで、残業時間だけでなく、ため息が漏れる回数も増え、疲れがたまっているのではないでしょうか。

また、そのAさんの様子を気にしながらも、そもそも部下と呼べる若手の指導経験が少ないから、どんなアドバイスをしたらよいのかわからない、どうしようと戸惑う、30代半ばの上司の背中も見えてくるような状況です。

不安が見えることの意味

最近、業績のよい企業や業界の情報を聞くことが減りましたね。

Aさんは、仕事に慣れ、余裕が出てきて、自分を取り巻く環境が気になるようになりました。これは、仕事経験を通じた地道な努力の結果、自分の能力そのものが伸びたからです。まず、この点を認めてください。

さらに、景気の状況をつかみ、自社を取り巻く外部環境の変化が気になったこと、それを切実に感じられるようになったことも、より大きな視野を持って仕事に取り組めるようになった証拠です。

だからこそ、ため息が漏れるような状況だと気がついてしまうのですが、ここで立ち止まるとつらくなるばかりです。このような状況でまず必要なことは、自分の組織内の位置を明確につかむことです。

Aさんは、部下がいない平社員です。組織内外に影響力を行使して、直接的なアクションを起こせるポジションにはありません。企業を取り巻く環境について心配をしても、自分が取ることができる行動の幅が、非常に限定されているということです。

自分の組織内での立ち位置がわかるということは、新人時代にはなかったより大きな視野を持てるようになったということです。この力を使って、自分がどのようにキャリア形成を行いたいのか(たとえば今後磨きたい・伸ばしていきたい能力は何か、どのような業務を担当してみたいかなど)を考えてみましょう。

そして、組織内外で見習いたい人たちの仕事への取り組み方や努力のプロセスをつかんで、自分が実践したいことに活かしてください。具体的には、目の前の仕事をより効率的に片づけるだけでなく、周囲の能力の高い人がどのような姿勢、あるいは具体的な取り組み方で、仕事をしているのか、少し観察してみてください。

目線を上げる

さらに余力があれば、直属の上司のさらに上の立場になったつもりで、一緒に働く人たちを評価したり、環境変化にどのような手を打つべきかを考えてみたりしましょう。

たとえばあなたの直属の上司は、あなたが抱いている危機感と同じことを感じていませんか? それに対してどうすべきかと目標を設定して、具体的な行動を部下に指示していますか? さらに上司自身はどのようなことに取り組んでいるでしょうか?

目線を上げて、組織全体を見てみる姿勢を、ぜひこの機会に身に付けましょう。そうすると、今まで見えなかったことが見えてくるはずです。

外部環境の変化を心配しても、好転することはありません。情報を収集し、的確に状況を把握することは必要ですが、いたずらに不安を抱えても、何もプラスにはなりません。愚痴を言う、過剰な分析に時間や自分の力を注ぐことは、長期的に考えても、個人のやる気をそぐ行為でしかありません。

「一歩上がると、見えへんことがわかるようになるんどす」

仕事に慣れたことを通じて獲得した時間や能力を、いかに自分自身を伸ばすため、キャリア形成のために意図的に使えるのかが、大切です。実は、お悩みを抱えているAさんは、このことをしっかり意識すべき立場になったのだと、わかっていただけると思います。

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