消費増税は延期でなく「当面停止」が正しい いつまで地方再生ばらまき政策を続けるのか

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さらにそれに加えて社会保障不安があるわけですから、消費増税に対しては節約、というバイアスが働くのは仕方がないということです。延期はしたものの、いずれ2019年には上がるわけですから、それまで節約モードが続くとなると、小売業を中心に経営者には相当な覚悟が必要となり、企業設備投資も減速することは間違いありません。この際延期ではなく、「一時取りやめ、以後相談」くらいにしておけばよかったのだろうと思います。

個人消費支出などのデータを見ていただければ、あの、買いたくても買うものが店頭になかった東日本大震災の2011年3月を下回っているという状況が何を意味するのか、もう少し真剣に考える必要があります。このままいくと日本経済は完全に失速しかねません。

日本は政府部門が多くの負債を抱えているだけ

ただでさえ逆進性の強い消費増税が日本経済にこれだけのダメージを与えたわけですが、一方で財政の問題はどうするんだ、という声もいまだに聞こえます。私は講演会でいつもこのように言っています。日本の財政は債務超過ではなく資産超過であって、政府部門が多くの負債を抱えているだけのこと。みなさまが一斉に国を出る、あるいは預金を下ろせば一発で潰れますが、そうでなければ十分、国全体として外国からの投資などに頼らずファイナンスを続けていくことができるのです。アメリカでさえ国債の50%が外国政府、海外投資家によって購入されているのに日本では90%以上が国内で消化されています。

2002年に日本が倒産する! とクルーグマンなどの経済学者が大騒ぎをして、ジャパンプレミアムなるとんでもない利回りが要求された時期がありました。当時ワタクシがいた某外資系銀行においても東京三菱銀行に対してO/N(オーバーナイト)のポジションでさえ持つな、と言われてびっくりした覚えがあります。

それに対し当時財務官であった、現日銀総裁の黒田氏は憤然と世界に向かって抗議をします。その内容は以下の通りです。

日本は世界最大の経常黒字国かつ貯蓄超過国であり、国債は低位かつ安定した金利で国内で消化されており、外貨準備も世界最大でこういう国が破たんするというのはいかなる事態を想定しているのか

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