現在この黒田財務官の書簡内容は訂正するところは一カ所もありません。強いて言えば外貨準備高は中国が世界最大ですが、当時の日本の外貨準備がせいぜい4000億ドルで、現在は1兆ドルを超えていることを考えてみれば当時よりさらに盤石と言えるかもしれません。
つまり今現在、可及的速やかに消費税を上げなければ国が破綻する状況にはない、ということを当時の財務省は明言していたわけで、それは現在もまったく同じです。GDP比で200%の債務というと数字だけでびっくりしてしまいますが、亭主(国)がいくら借金をしても、女房(国民)ががっちり預金をしてそれでファイナンスをしているのですからその家計が突然潰れる、などということはあり得ません。
したがって延期ではなく、当面停止。それによりGDPの60%を占める個人消費を活性化する、というのが実は正しい処方箋でした。その間に検討できる税制(資産税など)を再度検討し、消費を活性化させる方策を練るのです。これが日本を経済成長させる大きな処方箋となり得ますし、その文脈の延長線上に実は「地方再生」があるのです。
しかしながら、相変わらずのばらまき政策のオンパレードで竹下創生の時代とやっていることはまったく変わっていないことに愕然とするわけです。一体世界から何周遅れになるつもりなのかと改めて問いただしたいと思っております。
捨て金で終わってしまうプロジェクト
たとえば、こういう話が出てくるわけですね。
実は遠野市に限ったことではなく、地域おこし協力隊と称する町おこしを目指す人を都会から呼んで、その代わり生活費を面倒みます、というプロジェクトは日本全国に存在しています。わたくしも自分自身で多数のベンチャーを立ち上げ、多くのベンチャー企業の育成に携わりましたが、年間400万円程度のおカネ目当てでしか立ち上がらないベンチャーがあるとすると、それは端から「商売にならない」「誰からも相手にされない」ベンチャー事業と断言できます。
数多くのベンチャー起業家は年間400万円位なら自力で十分稼ぎます。つまりこういう制度にのっかってくる人々というのは端から民間レベルのベンチャー投資家から見捨てられた、あるいは使いものにならない人々と断言できます。そしてその補助が終われば自分たちで食うことはできませんから、再び東京に戻るか、そのままその地方で生活保護を受けてさらにその地方財政を疲弊させる・・・という現実が起きているということを見過ごしてはなりません。つまりこれはムダ金、以外の何ものでもないのです。
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