あえて言う「消費増税再延期は正しかった」 いま消費税が10%になったら日本はヤバイ

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消費増税の再延期を発表する安倍首相。自民党には財政再建派も多かった(写真:新華社/アフロ)

大半の企業は「増税延期」とタカをくくっていた

5月中旬、某ITソリューション系企業を訪問した際に聞いた話である。担当の方が、こんな心配をしていた。

「中小企業向けの消費税・軽減税率対応ソフトが売れていない。導入まであと1年を切っているから、このままでは来年春までに対応が間に合わないかもしれない」

つまり軽減税率という変な仕組みができるので、増税後は同じピザ屋さんでも店内で食べると10%で、ケータリングだと8%みたいなことになる。その辺のややこしい事態に対応するスグレモノ商品を開発したのだが、買ってもらえない。需要はあるに決まっているのに、とのことであった。

察するに多くの企業が、「来年春の増税はどうせ延期になるだろう」と、タカをくくっていたのである。5月14日には日本経済新聞が、5月25日には読売新聞が朝刊一面で「首相、増税延期へ」との報を打っている。つまりメディアも盛んに「同調圧力」を送っていた。世論調査を見ても大多数が増税に反対しているし、いくら軽減税率の対象になるといっても、増税となれば新聞の部数は確実に減りますからなあ。

証券界になるとさらに遠慮がなくて、増税延期は当たり前で、延期が発表される際に打ち出される補正予算の規模を気にしていた。「5兆円だと少ないから、10兆円はほしい」などという厚かましい声も聞いた。6月1日に安倍首相が増税延期を宣言した際に、経済対策への具体的金額の言及がなかったら、案の定、株価は下げてしまった。文字通り現金な人たちである。

つまり民間は最初から、「増税って延期なんでしょ?」と楽観していたのである。

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