命をかける覚悟がなければ経営者になるな 松下幸之助が経営について考えていたこと

✎ 1〜 ✎ 45 ✎ 46 ✎ 47 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
いつも経営のことを考えている人であった(撮影者不明)

松下幸之助のそばについて7年目ぐらいの頃だった。西宮の家の茶室で2人でお茶を飲んでいた。当時の私はまだまだ緊張しており、松下の隣でじっとしていた。

それまでわりとやさしく話しかけてくれていた松下が、そのときは、いささか厳しい表情で、「心を許して遊ぶという言葉があるやろ。しかし、心を許して遊ぶ人は、経営者にはなれへんで。心置きなく眠る人もいるやろ。そういう人も経営者たる資格はないな」と、つぶやいたのである。

命をかける覚悟がなければ経営者になるな

この連載の一覧はこちら

私が、経営者といえども人間だから、たまには遊んでもいいのではないですか、と尋ねると、「信長は酒を飲んでいても隣国のことを忘れなかったという。命をかける覚悟というものがなければ、経営者になるべきではない」と強い口調で言った。

まだ若かった私には「そんな厳しいものですか」という返事をするのが精一杯であった。しかしその言葉の鮮烈な印象は、以後消えることはなかった。

たしかに松下幸之助はいつも経営のことを考えている人であった。経営に全身全霊をささげていた。会社にいるときは当然のこと、たとえテレビのCMを見ているときでも、自社製品はどうなっているのか、お客さまに十分に喜んでいただける商品を出しているのか。車に乗っていても、このあたりは看板が少ないから自社製品の売れ行きが悪いのではないかと、常に注意をはらって経営に結びつけていた。そしてヒントを得るとすぐに実行に移し、成功させていた。

次ページ経営者は仕事に没頭せよ
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事