命をかける覚悟がなければ経営者になるな

松下幸之助が経営について考えていたこと

いつも経営のことを考えている人であった(撮影者不明)

松下幸之助のそばについて7年目ぐらいの頃だった。西宮の家の茶室で2人でお茶を飲んでいた。当時の私はまだまだ緊張しており、松下の隣でじっとしていた。

それまでわりとやさしく話しかけてくれていた松下が、そのときは、いささか厳しい表情で、「心を許して遊ぶという言葉があるやろ。しかし、心を許して遊ぶ人は、経営者にはなれへんで。心置きなく眠る人もいるやろ。そういう人も経営者たる資格はないな」と、つぶやいたのである。

命をかける覚悟がなければ経営者になるな

この連載の一覧はこちら

私が、経営者といえども人間だから、たまには遊んでもいいのではないですか、と尋ねると、「信長は酒を飲んでいても隣国のことを忘れなかったという。命をかける覚悟というものがなければ、経営者になるべきではない」と強い口調で言った。

まだ若かった私には「そんな厳しいものですか」という返事をするのが精一杯であった。しかしその言葉の鮮烈な印象は、以後消えることはなかった。

たしかに松下幸之助はいつも経営のことを考えている人であった。経営に全身全霊をささげていた。会社にいるときは当然のこと、たとえテレビのCMを見ているときでも、自社製品はどうなっているのか、お客さまに十分に喜んでいただける商品を出しているのか。車に乗っていても、このあたりは看板が少ないから自社製品の売れ行きが悪いのではないかと、常に注意をはらって経営に結びつけていた。そしてヒントを得るとすぐに実行に移し、成功させていた。

次ページ経営者は仕事に没頭せよ
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 「米国会社四季報」で読み解くアメリカ優良企業
  • 女性の美学
  • インフレが日本を救う
  • 賃金・生涯給料ランキング
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
史上最大の上場に賭ける<br>ソフトバンクの思惑

12月19日、ソフトバンクが上場する。過去最大規模の超大型上場だが、祭りの後は楽観できない。親子上場による利益相反、高い配当性向、キャッシュの流出など懸念材料は多数。同社の大胆な戦略の前提である安定した収益成長が崩れる日、事態は……。