「いくつかの条件を言ったけど、最後に、これからの経営者にとって大事なことは、なんといっても人柄やな。結局はこれに尽きるといっても、かまわんほどや。経営者にかぎったことやない。あらゆる指導者にはこのことが強く望まれるな。まず、暖かい心というか、思いやりの心を持っておるかどうかということやね」
人柄という、素朴なことを松下幸之助が重視していたことは、強調しておきたい。実際に自分で企業を興し成功させた人ならではの言葉であろう。また、それを世界的企業に成長させた人の言葉であるなら、重みがちがう。
誠実な人柄でないといけない
社員みんなが力を合わせて仕事に取り組んでいる。助け合って心を合わせて一生懸命働いている。そのことに対して、経営者に感謝の思いがあれば、おのずから社員の人たち、部下の人たちへの思いやりの心が湧いてくる。ああ、ありがたい、と部下のことを思いやる、心配りをする、暖かい心を持つ。そういう人柄でなければいけない、ということである。
「それから、誠実な人柄でないとな。ものごとを真面目に考える。一生懸命考える。そしてそれに取り組む」
他人にはとやかく言うけれど、自分はしない人。いいことを言うけれど、自分は実行しない人。人前では真面目にやるけれど、陰では手を抜く人。そういうことでは誠実とは言えない。誠実でもなく、公私のけじめもつけず、それでいていかに自分を偉そうに見せるかということに腐心する。こういう経営者が案外、多いものである。
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