「それから経営者の人柄として、堂々としておるということも大事なことやな」
部下に責任を押しつける。いやな仕事は部下にやらせる。そんなことでは立派な経営者とは言えない。これからの複雑な時代には、部下がやる仕事も時として、というより往々にしてうまくいかないことが多くなる。部下の失敗やわが失敗として堂々と責任をとっていく。度胸を決めて、よし、任せておけ、心配するな。あとは引き受けてやる、と言うことができるか。一城の主として堂々と相手と相対することである。
そういう堂々とした経営者の姿勢を見ればこそ、社員の人たちも、よし、おれたちもしっかり胸を張って仕事に取り組もうということになる。北風に向かって、経営者はつねに凛としていなければいけない。
経営者は素直でなければいけない
「それからな、もうひとつ付け加えれば、経営者は素直でないといかんということやな。極論すれば、この素直な心をもし完全に身につけておれば、いままでわしが言うてきたことは、なんもいらんとも言える。素直な心だけでいいというわけや。そやろ。
素直な心であれば、なにが正しいか、なにをしなければならないのか、ということがおのずとわかるから、この素直な心を身につけることに成功するならば、もうこれだけで十分だと言える。それほどのもんやね」
経営者は哲学があって、知恵も出し、迅速に動き、感動させ、命がけで、人柄もよくなければならないのだから、たいへんである。いわば活動する哲人ということになろうか。しかし、いかにたいへんであろうが、成功を望む者、経営者の立場に立った人はできるだけ条件に近づくよう努力しなければならない。
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