スタンフォードで学ぶ、修羅場の人間関係

”俳優塾”さながらのロールプレイ演習

スタンフォードの1年目の授業として最も有名な「Leadership Lab」(リーダーシップ演習)は、石倉さんの価値観を大きく変えたという。

「僕が、バイオベンチャー企業でアメリカに駐在していたとき、人のマネジメントでとても苦労しました。『なぜあのときうまくいかなかったか』。その理由を教えてくれた授業でした」

”俳優塾”のさながらのロールプレイ演習。写真はLeadership Lab の期末試験(Executive Challenge)の模様

授業では、6人ずつに分けられたチームごとに、2年生が1人つき、1年生の演習の相手役となる。特徴的なのは、この演習に担当教授はいないこと。急成長している組織の中で経験する「修羅場」をどのように乗り切るか、ロールプレイ演習で学んでいく。

授業のハイライトは期末試験だ。授業の日の朝、演習の題目が渡され、配役が決められる。

そして、その相手役は、スタンフォードの卒業生だ。この日のために、150人を超える卒業生が、相手役、兼、試験の評価役として、全米から集まってくる。Fortune500社のCEO/役員、コンサルティング会社の役員、ベンチャーキャピタルの役員、起業家などが一堂に会し、学生と真剣勝負をする。

石倉さんが参加したときの設定は、次のようなものだった。

ベンチャーキャピタルの投資家が、投資先の会社が不振で、創業者兼CEOを辞めさせた。投資家は、新たなCEOをこの会社に送り込むことになった。今日は、創業者を慕ってこの会社に入社したという経営陣と、初めて顔を会わせる日。あなたが、新 CEOだったら、どのように経営陣の信頼を勝ち取るか?

 

学生はCEO役。百戦錬磨の卒業生は、創業者派の役員役を演じる。台本はなく、即興で、この設定に沿って、役柄を演じなくてはならない。

「役員会は、創業者が突然更迭されたことへの不満や新CEOに対する猜疑心で、緊張感に包まれていて、演習とはいえ、真剣そのものでした。

卒業生は、実際に起業の現場を経験した人も多いですし、ほとんどが、現役のボードメンバーですから、経験に基づいて、リアルに再現してくれます。

僕たちへのフィードバックも『あの一言で君への信頼感がぐっと増した』とか、『説得する人の順番が違う』とか、とにかく具体的でしたね」

中にはロールプレイの最中に、辛辣な卒業生の態度に、泣いてしまうアメリカ人学生もいたという。

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