ロンドン起点で描く、スカイプの成長戦略 創業10年目の誓い(最終回)

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しかし、スカイプ上に広告を溢れさせることはシエーラ氏の言う使いやすさや人間中心の目的を損ねることになる。「そこのバランスは難しい」(アーグラワル氏)。

SNSへの展開も視野 日本攻略なるか

スウェーデン、ロンドンと続いてスカイプの中枢人物を取材してわかったことは、数多無料通話サービスが登場する中でも、スカイプの優位性は揺るがないことだ。

新しいデバイスが出るとすぐに対応するマルチプラットフォーム戦略や独自コーデック(データを圧縮・伸張するソフトウェア)開発による音声品質向上の徹底は、他の追随を許さない。ブランド戦略も明快で各国とのパートナーシップ構築も順調だ。買収されたマイクロソフトとのサービス連携も回り始めているように見える。

問題は第1回で指摘したように、いかに自前の強さをマネタイズ出来るかだろう。そこに関する可能性は未知数と言えそうだ。うまくいけばSkype for windows 8を皮切りに万年赤字体質からの脱却が図れるかもしれないし、一方のマイクロソフトの巨額買収が失敗に終わる可能性もある。

気になるのは日本における競争環境の激化。「人間関係で傷付きたくない繊細な人が増えている。(独自の絵文字機能)スタンプは電話の代替になる」(LINEを運営するNHN Japanの森川亮社長)との指摘もあり、そうなった場合、通話主体のスカイプはユーザー規模の拡大が見込めなくなる。

「今後はツイッターやフェイスブックのようなSNS要素も取り入れ、通話以外の楽しみを提供したい。現在は数人規模の日本オフィスも営業人員を中心に増やしていきたい」(アーグラワル氏)とするスカイプ。巨人・マイクロソフトのとのタッグのもと、日本市場攻略の本気度がますます問われることになる。

二階堂 遼馬 東洋経済 記者

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にかいどう りょうま / Ryoma Nikaido

解説部記者。米国を中心にマクロの政治・経済をカバー。2008年東洋経済新報社入社。化学、外食、ネット業界担当記者と週刊東洋経済編集部を経て現職。週刊東洋経済編集部では産業特集を中心に担当。

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