ロンドン起点で描く、スカイプの成長戦略

創業10年目の誓い(最終回)

日本ではKDDI、伊藤忠と事業提携

次に話を聞いたのが、プロダクトパートナー担当マーケティングディレクターのリンダ・サマーズ氏だ。サマーズ氏はスカイプの製品を世界中のマーケットに提供する任を負う。スカイプのモバイル部門を立ち上げるため09年スカイプに入社。「禁断のアプリ」と言われた、10年10月のKDDIとの戦略包括提携に携わった実績も持つ。

「ローカルマーケットを開拓するためにはパートナーとの提携がとても重要になる」と指摘するサマーズ氏。KDDIを含む日本の事業者との提携の背景について語った。

「KDDIとの提携についてはKDDI側から話が持ち掛けられた。KDDIはスカイプが10年3月に結んだアメリカ携帯通信大手・ベライゾンとの提携に興味を持ったようだ。ベライゾンが有するモバイルテクノロジーがKDDIと共通していたため、ベライゾンと同様のサービスを始めたいという打診があった。

我々からはARPU(=Average Revenue Per User。1人当たりの売上高)やリテンション(顧客維持率)が上がったという様々なデータを提供し、提携に至った。当時、日本の携帯電話業界はドコモが断トツの業界首位で、ソフトバンクはiPhone(アイフォーン)を取り扱い始めていた。KDDIとしても対抗策を打ち出す必要に迫られていたようだ」

KDDIとスカイプとの提携内容は、アンドロイド搭載型のスマートフォン向けにKDDIが専用通話ソフト「Skype au」の提供を始めるというものだ。

携帯通信会社にとって、通話収入は大事な収益源。それでもKDDIにはスカイプと提携することで、ユーザーの裾野を拡充したいという狙いがあり、「KDDIを通じ、日本の膨大なモバイルユーザーを獲得できる」(サマーズ氏)というスカイプとの思惑が一致したワケだ。

スカイプが日本の事業者と提携を結んだ事例はKDDIだけではない。08年10月には伊藤忠商事と提携し、スカイプの有料機能(固定電話や携帯電話との通話機能、ボイスメール機能、転送機能など)を利用するためのプリペイド型クーポン「Skypeクレジット」を国内のコンビニエンスストアで販売開始した。

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