秋山:そうだね。教師の資質によるところが大きい。ただ、最近はそれもだいぶ変わってきた。今は、小学校の算数の授業にもグループワークを取り入れたり、友達同士で教え合ったりしている。昔の授業は先生が主体だったけど、今は子どもたちを主体にするようになったね。それは非常に良い傾向です。だから、好奇心を育むという教育は以前よりは、改善されている気がしますね。
褒めるときとしかるときは理路整然と
エルテス:算数が苦手な親は、子どもにどうやって接してあげればいいですか?
秋山:例えば、中学校の算数がとても出来ない子どもがクラスで1、2番になるためにはどうしたらいいか。3〜4カ月ほど毎日3時間の勉強を続ければ、成績がビリの子どもでも1番になれると僕は強く確信しています。
ただ、ビリの子どもが数学をそこまで熱心に勉強できるかというと、難しいじゃないですか。本当に成績を上げたければ、数学を習得したければ、努力を続けられるんです。でも、その動機がない。じゃあ、動機はどうしたら生まれるのかというと、ここからが親御さんの腕の見せどころです。
教育の原則は「褒めること」と「しかること」なんです。それを適切に行っていくと、子どもは非常に伸びる。
日本で大成した教育者たちも、子どもをどう褒めて、どうしかれば、成長するかわかっていたんです。例えば、薪を持った銅像でおなじみの二宮尊徳。彼は、「可愛くば、五つ数えて三つ褒め、二つ叱ってよき人となせ」という一句を残しています。
これは、怒りたくなったら五つ数えるぐらいの間をおき、長所を三つあげて褒めてから二つだけしかる程度にすれば、子どもは、言うことをよく聞き、育つということ意味です。
また、花巻農学校の教師としても優れた才能を発揮した宮沢賢治も、生徒を「三つ褒めて、一つしかること」を意識していたそうです。例えば、タバコを吸っている生徒がいたら、まずはその生徒のいいところを褒め、それから「タバコは身体に悪い」を注意する。
二宮尊徳も宮沢賢治も、子どもを褒めるときは理路整然としていると同時に、相手への愛情や思いやりがあるのです。これが子どもの教育には非常に重要でして。
エルテス:なるほど。
秋山:同じようにちゃんと子どもを褒めて、かつしかっているご家庭はやはり成績も伸びるんです。だから、それさえできれば、どんな子どもでも成長します。
「僕には無理だ……」「私にはできない」と言う子どももいますが、それは好きになろうというきっかけがなかっただけ。そこを親や先生がうまくカバーしてあげないといけない。過去に何十万人の生徒を指導してそう確信しました。
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