"大学"と"宗教"が機能しない、日本の不幸 藤原和博(その4)

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渡邉:そうすると、税制を変えないといけないですよね?

藤原:変える必要はないですよ。財務省に確認は取ってます。

渡邉:えー、そうなんですか。

藤原:そして、施設には、寄付してくれた人の名前を付ければいい。佐藤記念メディアセンターとかね。たとえば、渡邉さんが寄付すれば、和田中に渡邉記念講堂を作ることは今でも可能ですよ。すでに東大には、安田講堂(安田財閥の祖、安田善次郎の寄付)や福武ホール(福武總一郎ベネッセ会長の寄付)があるでしょう。だから小中学校にも、そうしたものがあってもいいんですよ。

渡邉:その仕組みは、あんまり知られてないですよね。

藤原:知られていないどころか、誰もやったことがない。ここ数年ずっと、「これを最初にやった人は、新聞のトップ記事で報道されますよ。もしかしたら、『ビジネスウィーク』誌の表紙を飾れるかもしれないよ」と言っているんだけど、誰もやってくれない。名前をつけなきゃいけないですね。「レガシー・ファンド」とか。

30億円の寄付があれば校舎をすべて建て替えられるんですよ。体育館だけなら7億円。図書室とコンピュータセンターを一体化させたメディアセンターやランチルームなら数千万円でもできるでしょう。このやり方が広がると、1500兆円の中から、4、5兆円は引き出せるんではないかと思うんだけどな。

渡邉:これは国が音頭を取ることになるんですか?

藤原:そう。国が音頭を取ることが大事。たとえば、一定額以上を寄付した人は、園遊会に招いてもらえるとか。7億円以上、つまり、体育館の建設費以上の額を寄付した人には、二宮金次郎の替わりに学校に銅像を建ててもらえるとか(笑)。そうすれば、基礎工事費がものすごく浮くでしょう。

渡邉:そうか。準公務員を増やすという話も含めて、納得しました。 ただ、これは政治的にはなかなか通らなそうですよね。

「分厚い中間層」というフレーズは、やっぱり政治的には受けるじゃないですか。「1%のエリートに頑張ってもらおう」と言うと、ホリエモンみたいな話になってきて、票がとりにくくなる。ただ、方向性としては、これをやるしかないですね。

藤原:「分厚い中間層」の復活というのは無理でしょう。それはもう崩壊しているのに、見て見ぬふりをしているだけであって。そもそも、政権のメンバー自体が、自分は中間層ではなく、勝ち組だと思っているしね。

(撮影:梅谷秀司)

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