バナナが時間計測単位の国を知っていますか 世界中にある「日本語に訳せない言葉」の魅力
一方、マレー語の「pspang zapra(ピサンザプラ)」の意味は、なんと「バナナを食べる所要時間」だ。
「人によっても、バナナの大きさによっても、違うでしょ!」とつっこみたくなるが、マレー人の間では、「このくらいの時間…」と共通の時間感覚がきっと存在するのだろう。
本書はこのように可愛い絵とともに言葉が紹介されている。絵本のような感覚で手軽に読める。
これら2つの単語のどちらも、それぞれの国で人々の身近にあるものが測量の基準になっているが、同じく身近にあるものから生まれている言葉に「palegg(ポーレッグ)」がある。
これはノルウェー語で「パンにのせて食べるもの、何でも全部」を指す。チーズやお肉、レタスなどの食事系の食材も、ピーナツ・バターやジャムなどの甘いペーストも、普通であればバラバラのジャンルに分けられるはずのものたちがすべて、この「ポーレッグ」一言に内包される。言葉の寛容性に驚くとともに、ノルウェー人のパンへの愛情がじわじわと伝わってくる。
そういう例え方があったとは!
ドイツ語の「Drachenfutter(ドラッヘンフッター)は直訳すると「龍のえさ」だが、転じて「夫が、悪いふるまいを妻に許してもらうために贈るプレゼント」を意味する。
この「ドラッヘンフッター」とぴったり置き換えられる日本語の単語は思い浮かばないが、妻を怖がる夫たちも、妻のご機嫌をとるために贈り物をする習慣も、国を越えて共通しているのではないだろうか。
それにしても妻を「龍」に例えてしまうとは…逆に怒りを買わないのかと思わず心配にもなってくる。
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