片田舎の一方言から大出世した「英語」の秘密

語彙の乏しさをバネに世界標準になった

一方言から世界の標準語となった「英語」の壮大な物語を辿る(写真:YNS / PIXTA)

国際標準語として不動の地位を確立した英語。メインの言語として話す「母語話者」がいない会話でも使われるほど、その影響力は大きい。だが元を辿れば、英語にも北ヨーロッパの片田舎で使われる言語に過ぎなかった時代がある。

オランダやドイツの一部地域で使われる、フリジア語という言語があるそうだ。現在の話者は約50万人で、そのほとんどがオランダ語あるいはドイツ語との二言語併用者である。実は、フリジア語と英語それぞれの元になった言語は、隣り合う地域で使われる方言同士だった。英語史を勉強すると、英語と最も系統の近い言語としてフリジア語の名が出されるという。

地理的にも言語的にも事実上同じところから出発したと言っていいような言語が、片や世界的な存在に、片や母語話者もほとんどいない状態になっている。英語発展のプロセスは、「どこの馬の骨とも分からない」言語が、苦難の道を乗り越え、ついには比類ない地位を築くサクセスストーリーだと著者は語る。本書『世界の英語ができるまで』はその壮大な物語を辿る1冊だ。

英語の歴史

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英語の歴史は1500年以上にも及ぶ。5世紀にアングロ・サクソン人たちによってイングランドにもたらされた英語は、イングランド全域に定着するだけでも1000年以上の歳月を要している。イギリス諸島を離れて本格的に海外進出を始めたのは17世紀初頭になってからのことだ。

英国史上に残る様々な出来事は、英語の伝播においてもターニングポイントとなった。1066年のノルマン征服を境にアングロ・サクソン人による支配が終わりを告げ、フランス出身の王たちがイングランドを支配するようになる。フランス語およびラテン語が公的な言語となり、標準語として徐々に発達しつつあった英語は、一転して庶民の使う日常語という地位に甘んじることになった。

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