繰り返される「女の子2人で自殺」の背景

「支え合えず共倒れする」子どもを救えるか

そもそも、女子のほうが自殺したいと考える「自殺念慮」の割合は男子より多い。独立行政法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所の赤澤正人氏が2009年に高校生を対象に調査した結果、自殺を考えたことがあると答えた確率は男子19.5に対し、女子は41.7にのぼった。女子高校生の実に4割が自殺念慮を抱いた経験を持つ現実に驚かされる。ハイリスクの「仲間」は、女子のほうがより多く存在するのだ。

しかも、男子に比べると、女子のほうがおしゃべりするなかで自分の置かれた環境や気持ちを友だちによく話す。自殺念慮を外に向かって発信する傾向が強い。大人でも女性のほうが他者に相談して気持ちを整理するが、この傾向はすでに小学5年生から顕著だ。

「青少年の人間関係に関する一考察」(横浜国立大学・渡部真氏/1993)によると「相談する友だちがいない」と答えた5年男子は25.8%なのに対し女子はわずか5.8%だった。

支えやすいが、閉じた仲良しの場合はリスクも

「私の経験でも、相談に来る子は女子のほうが多い。周りに助けてと発信してくれるので支えるきっかけを作りやすい反面、閉じた仲良し2人組になった場合、ともにハイリスクでより危険な状態になってしまう」(阪中さん)

どちらか一方が自殺念慮など悩みを明かせば、「このことは秘密にしてね」となりがちだ。明かされたほうが信頼できる大人につなごうとしてくれたらよいのだが、つなぐのは裏切りと考える子どもが少なくない。

「だからこそ、自殺予防教育が必要なのです」

中高生の自殺死亡率が一向に下がらない。大人の自殺は12年以来、減少傾向にあるというのに。

阪中さんが昨夏に上梓した『学校現場から発信する 子どもの自殺予防ブック いのちの危機と向き合って』(金剛出版)によると、中高生の生徒総数は1986年当時でおよそ1140万人だったのが、その人たちが親になった2013年度は約700万人弱と60%も減っている。それなのにここ20年間で自殺死亡者はほぼ横ばい。つまり、中高生の自殺死亡率は漸増傾向なのだ。

同書によると、青少年の自殺未遂者は自殺既遂者の100~200倍存在するという報告がなされているという。毎年およそ300人の中高生が命を絶つことを考えると、最悪の場合6万人という数字が出てくる。

自殺対策白書(内閣府・内閣府)によると、15~34歳の若年層で死因の第一位が自殺になるのは、先進7カ国で日本だけ。「その死亡率も他国に比べると高く深刻な状況」とある。

なぜ、子どもたちは命を絶ってしまうのか。

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