週刊文春は「スクープ量産」の好循環に入った

「文春リークス」には情報提供が続々

木本:僕ら芸人の仕事と一緒ですよね。

新谷:それでも、とかく息苦しい世の中が、ガス抜き的に面白おかしくなればいいじゃないかというのが原点です。

木本:もっと、大きな存在になっていると思いますけれど。

ベッキーのスクープで得た教訓とは?

新谷:それは、ベッキーさんのスクープの時にすごく指摘されました。「可哀想じゃないか、ベッキーが」と。これは、いろんなインタビューですでに答えていますが、われわれのモチベーションはベッキーさんの仕事を休養に追い込んだり、CMを降板させよう思ってやったことではまったくないんです。前編の政治家のクビを獲る話と同じで、人間のいろんな顔という意味では、とても好感度が高い女の子がたまたました恋の相手が妻帯者だった。で、道ならぬ恋だった。意外だし、ビックリだし、見かけによらないよね、ベッキーさん結構やるなあ、というレベルの話だったのです。

でも記事が出てからは、ひどい叩かれようで。会見で嘘をついてしまったのが大きかったと思うのですが、ボコボコにされてしまった。その状況を受けて思ったのは、一度水に落ちた犬になると、ネットも含めてもうこれでもかと叩きまくる世の中だと。それがよくわかったので、いっそう気をつけながら取材対象を選んでいます。あるいは書き方ですよね。「ベッキー不倫けしからん」とは、書いていないんですよ。書き方を含めて慎重にしないと怖い時代だなと思っています。

木本:たいへん興味深いお話ですね。スクープした記事の反応を見ながら、いろいろ柔軟に、こうしなくちゃダメということを学習しながらやられているわけですね。

新谷:そう、世の中の空気を読みながら、これは明らかに、彼女がやっていることよりも叩かれすぎているし、重い罰を受けすぎている。「量刑が重すぎるよなあ」という意識がありましたから、我々なりの方法で状況を変えたいと思ってはいたんです。現場の記者、デスクにはそれは伝えていて、彼らなりに考えた。で、水面下でサンミュージックさんにアプローチして、「うちに出るのがいいんじゃないですか」と粘り強く交渉して、それが編集部への手紙につながった。

木本:つまり会見後に事務所に接触されてからは、いわゆるフォローをどうしようかという時期に入っていたんですね。より深く暴くのではなくてね。

新谷:少なくとも、より深く再起不能にしてやろうなんてことは思っていない。

木本:新谷さんのお話で自分が持っていた週刊文春のイメージが少しずつ変わってきました。文春さんは、権力なんてくそくらえと、闘っていると思っていたのですが、必ずしもそうではないということが、よくわかりました。

(構成:高杉公秀、撮影:梅谷秀司)

前編:週刊文春編集長が明かすスクープ連発の裏側

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