関西を拠点とする会社で、社員のほとんどが地元の出身者だった場合、こうしたローカルルールはすでに暗黙知となっています。もちろん、その会社における言葉の使い方を示したガイドブックは、どこにも置いてありません。もしあなたが関西以外の出身で、この会社に入ったとしても、当然、ローカルルールを無視するわけにはいきません。そこに適応できるよう、周りの様子を見ながら合わせていくしかないのです。
優秀と評される社員を観察しよう
何もこれは地域に限った話ではありません。会社や業界によってもローカルマナーは異なってきます。
たとえば、上司から指示を仰ぐときのマナー。上司から話を聞く場合に礼儀としてメモを取るのは当たり前という場合は多いでしょう。ただ、それだけでは不十分なケースもあります。筆者が知るある会社では、
「上司と話をするときは必ずメモをとり、それを『復唱する』」
ことができると「センスあり」と評価されるそうです。そのマナーを知らずにメモを取るだけにし、その後に復唱をしなくても、上司は「復唱しないの?」と尋ねることはなく、
《あいつはまじめに指示を聞いていない》
と低い評価をされるといいます。
優秀と評価されている社員たちの行動を観察していればわかることですが、中途採用組だったり、観察力が低いために、そうした暗黙のルールに気づかず、損をする羽目になった人はたくさんいるようです。当然ながら、復唱しなくても、上司の指示をまじめに聞いていないとは限りませんね。ただ、かなり前に当時の役員が
「メモを取るだけでなく、復唱することで身に付くものである」
と語ったことから社内でマナーとして定着したようです。その背景など誰も知らない時代になって、それでもローカルマナーとして復唱することが、まじめさの基準になっている……。そんな職場もよくあるのです。
一方、優秀な社員の行動を観察していると、社内マナーとしてのコミュニケーションが見えてくることがあります。社内で優秀と評される社員たちは、“抜け漏れ”していると評価が下がるマナーを押さえるセンスに長けているのです。
ここで言う「優秀」とは、社内における人事評価の高い人物のこと。そうした人物は、社内での人間関係が巧みです。言うべきことを言いながらも、疎まれません。結果としていい仕事が集まり、さらに高い成果を上げられるプラスのスパイラルが構築されている状態です。そんな人物は、同様に社内で優秀と評される先輩たちを観察して勘所を押さえたのでしょう。ぜひ、周囲の優秀と評される同僚社員を観察してみてください。ローカルマナーの重要なポイントが見えてくるはずです。
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