歴史としては、醸造酒のほうが古く、紀元前3000年にはすでに、メソポタミアで、シュメール人がビールを作っていたという記述が、粘土板に残されているそうです。
それに比べて、蒸留酒の登場は、紀元前4世紀、ヘレニズム時代の錬金術まで待たねばなりませんでした。
錬金術から生まれ、東に伝わった蒸留酒づくり。
錬金術というと、現代では、何か、いかがわしいもうけ話のように聞こえますが、当時は、鉛のような卑金属を、加熱などの化学的な方法で、金や銀といった貴金属に変える、物質をより完全な存在に変えようとする、まじめな研究だったそうです。
そして、そんな中、現代でも使われている蒸留器の原型を作ったのが、かのアリストテレス。アランビックとよばれる銅製の蒸留器とそれを使った蒸留技術は、アレキサンダー大王の東方遠征と共に、アジアにも広く伝わりました。沖縄で泡盛をつくる蒸留器は、その昔「ランビキ」とよばれていたそうです。
アリストテレスの発明した蒸留器の原理はいたってシンプルで、原料を加熱して気化させ、冷却して再度純度の高い液体に戻す、というものです。
図は、現在もウィスキーづくりに使われているポットスチルの図ですが、基本の原理自体は、アリストテレスの時代からあまり変わってはいません。
ただ、実際のウィスキーづくりの現場では、その蒸留所のめざす味わいをつくり出すために、ポットスチルもさまざまな形状のものが使われており、そこにしかないポットスチル、なんていうものもあるようです。
「酒は大人の教養である」ー次回はいよいよ、ウィスキーそのものの歴史と種類について、時間軸と地図上の旅に出たいと思います。
イラスト:青野 達人
(※次回は12月14日(金)掲載予定です)
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