ゆとり世代は受け身的でまじめ、その対処法は? 新入社員教育の実態調査
HR総合調査研究所は2012年7月9日~19日に人事担当者に対し、「新入社員教育」についての調査を行った。回答を得たのはメーカー138社、非メー カー191社の合計329社だ。設問を大きく分ければ、「ゆとり世代」に対する施策、入社前研修、入社後の導入研修(OFF-JT)、OJTになる。今回 は、企業の人事は「ゆとり世代」をどうとらえ、対処しようとしているのかを見てみよう。
「意外にコミュニケーション力はある「ゆとり世代」
「ゆとり世代」とは、2002年度学習指導要領による教育(ゆとり教育)を受けた世代を指す。狭義には、第1世代を1987年4月2日~1988年4月1日生まれとし、現役入学の場合、大卒では2010年入社がゆとり第1世代になる。
先行世代と有意な資質の違いがあるとされることが多い「ゆとり世代」だが、企業の人事担当者はどう感じているのであろうか。
他の世代と「特に変わらない」とする意見も7%あるが、ほとんどの人事はこの世代に共通する特徴があると考えている。
最も多かった回答は、「受身的である」(59%)、次いで「まじめである」(58%)で、6割近い人事が共通する特徴であると考えている。自分から何かをすることは少ないが、出された課題はそつなくこなす。大学関係者によれば、かつてと比べて学生の講義への出席率は極めて高いという。
次いで多いのは、「精神的に弱い」(37%)、「他者との争いを好まない」(34%)、「失敗を恐れる」(31%)、「すぐ答えを求める」(30%)だ。「失敗を恐れる」からこそ、自分でチャレンジをするのではなく、マニュアル(答え)を「すぐに求める」。「失敗をすること=他人に迷惑をかける(会社に損害を与える)」と考えるのも、「まじめである」ことの表れかもしれない。
採用で最も重視されるのはコミュニケーション能力だが、「コミュニケーションが下手」という意見は22%と少ない。すべてのコミュニケーションが下手というわけではなさそうである。「堅実である」(19%)と「グループを好む」(12%)も少ない。世間でよく言われるこれらの項目を特徴だと感じているのは1~3割程度の人事担当者に過ぎず、一部の若者の行動をあたかも「ゆとり世代」の特徴だとはやしたてているだけなのかもしれない。
図表1:「ゆとり世代」新卒新入社員の特徴と思われること