ゆとり世代は受け身的でまじめ、その対処法は? 新入社員教育の実態調査
学力というより、精神年齢が幼いゆとり世代
ゆとり世代に対する人事のフリーコメントから、ゆとり世代を形容する言葉を抜き出してみよう。
「他責的」「小学生を相手にしている感覚」「素直・謙虚でない」「柔軟性に欠ける」「覇気がない」「保守的」「貪欲さがない」「ふて腐れた態度」「反省がない」。
ゆとり世代は、ゆとりカリキュラムによって学力が低下した世代とされることが多いが、学力よりも精神年齢が幼いという印象を受ける。大学進学率が5割を超え、さらにはAO入試や推薦など、入学試験による本来の入学ルートを経ない学生が増え続ける中で、学力面において大卒レベルに値しない層も格段に増えているが、それは「ゆとり」とは別問題といえる。
「ゆとり世代」の対処には各社とも苦労しているようだ。「指示する時は必ず理由も言う」「実習で競争原理を入れる」「褒める」「マインドセット研修」「メンタルヘルスを強化」「人事面談の回数を増やす」「相手の考えを理解するように努める」と苦労している。また研修を強化し、先輩社員がマンツーマンでフォローするメンター制度を取り入れる企業が増えている。
また、「マネジャークラスがゆとり世代の特徴を理解する機会を作っている」という声もある。これも重要な取り組みだ。
入社前教育(内定者教育)を実施する企業は全体の7割
内定者教育を行う企業は全体の69%、7割の企業が実施している。しかし規模によって差があり、「1001名以上」では73%が実施、「301名~1000名」では74%が実施しているのに対し、「300名以下」では62%と低い。
「今年の新入社員から実施した」と「今年の新入社員から取りやめた」と方針変更した企業は少なく、これまで実施してきた企業は例年どおり実施し、やっていなかった企業は例年どおりやらなかったようだ。 内定者教育は、入社後の早期戦力化のために実施するものであるが、中には内定者と定期的な連絡を取るきっかけのため、人材育成に熱心な企業であるとのイメージ醸成のためという側面もありそうである。いずれにせよ、内定期間は学生に対して無報酬であり、学生にあまり過度な負担となるような強制的な教育は慎むべきものではないだろうか。
図表2:入社前教育(内定者教育)の実施状況