ワンゾーンに入社後まもなく、そのファッションへの好奇心と、店舗運営力の高さが評価され、FRグループでは最短となる半年で店長資格を取得。半年後には、大阪の摂津富田店と高槻店の2店を任される。初店長としては異例の2店兼任の店長就任となり、順風満帆なキャリア人生を歩み出したかに見えた。
だが、店長として力を発揮しようという矢先、大事件が起こる。親会社FRが、靴事業を縮小することを決定したのだ。
店長就任から半年後に招集された店長会議で告げられたのは、靴専門店のリストラ。坂本店長の2店も対象となり、2カ月後の閉店を余儀なくされたのだった。
「2店のスタッフに閉店を発表したときほど、神経をすり減らしたことはない」と坂本店長は当時を振り返る。
スタッフたちは、突然の閉店通告に明らかに動揺していた。その後1カ月間、閉店に向けた商品処分や、隣接するジーユー等グループ店への転籍手配などに追われた。転籍に対応できず、退職せざるをえないアルバイトスタッフも多数出た。
退職したアルバイトスタッフともメル友
入社後1年あまりでやってきた大きな試練。「あんな思いはもう二度と、スタッフにさせたくない。その思いに、いま支えられている」と、坂本氏は言う。
先輩社員らに「サバサバしているけど、スタッフへの気遣いが行き届いている」と評されるのは、この苦い経験があるからだろう。
ジーユーでは数年あるいは半年など、短い期間で退職する学生のアルバイトスタッフも多いが、その後もメール友達として、プライベートで連絡を取り合う人も多いという。
単に気を遣うだけでなく、スタッフの前向きな力を引き出す働きかけをするのが、坂本流かもしれない。
「私は仕事のときも常に楽しくいないとダメなタイプ。だからスタッフにもそうあって欲しいし、どんどん提案してくれるようお願いしています。
提案してくれるときは、みんなすごいワクワクしながら話をしてくれるんです。その提案を実際にやってみて、うまくいったら心から褒めて。お互いが楽しい気持ちになれますよね」。
もちろん、プランタン銀座店のような大きな店舗をすべて、店長一人でまとめきることは難しい。
「私からみんなに指導することもありますが、スタッフの得意、不得意を見極め、それぞれの作業でキーになるスタッフの人に、その分野を任せます」。
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