瀧本哲史「女性リーダーが成功する秘訣」

新世代リーダーの条件

今の日本社会に必要なのは、天才を見いだして、彼らにリスクを取らせることだ。みんなを天才にするなんてむちゃなことをしてはいけない。

そうなると、自分よりすごい人に早く会うことも大事だと思う。天才は足りないところもすごく多いので、逆に自分が貢献できる部分も出てくる。

すごい文芸作家というのは、だいたい人間的に欠陥のある人だ。自分に才能がないと思ったら、その天才と張り合うのではなく、編集者になってその天才を助ければよい。すべての人は作家になれないのだから、せめて編集者になればいいという考えを持つべきだ。

フェイスブックの場合、いちばん大儲けしたのは創業者のザッカーバーグだが、社員たちも大金持ちになった。だから、皆がザッカーバーグになろうと思わずに、そういう天才に貢献してみるのもありだと思う。30~40代になれば、自分が持っているカードも決まってくる。他人と比較するのではなく、自分のカードでどううまくプレーするかを考えればいい。

20代で先行研究は終わり

ハウツー本を読んだりするのは、若い頃にはまだ意味があるかもしれないが、社会人になって正解のない世界に入ったら、あまり意味がなくなる。

瀧本哲史(たきもと・てつふみ)
京都大学客員准教授・エンジェル投資家

東京大学法学部卒業。同大大学院法学政治学研究科助手を経て、マッキンゼー&カンパニー勤務。独立後は投資業とともに、京都大学で教育、研究、産官学連携活動を行う。著書に『僕は君たちに武器を配りたい』『武器としての交渉思考』『武器としての決断思考』がある。

だからコンサルティング会社も、新しいプロジェクトをやるときは、いろいろな社会の過去の事例を分析するが、そこから先が本当の仕事になる。研究も同じだ。先行研究を読んで理解し、そこから先が本当の研究になる。つまり、遅くとも20代では先行研究を読むのを終えて、早めに正解のない世界に入っていかないといけない。

答えのわかっているリスクのないことには、必ずみんなが殺到してくる。だから、答えがわかっていない、成功するかどうかもわからないことでないと、付加価値は生じない。私の周りを見ても、飛び抜けて成功した人は、どこかで大きく道を変えた人だ。

友人の一人に、旧郵政省に入った後、スタンフォード大学に留学し、卒業後に入社した半導体会社で失敗して駄目だと思ったら、次に入ったグーグルで成功し、その後、起業したら1つ目は失敗したけれど、今2つ目の会社がうまくいき始めているという人がいる。

こういうリスクを取る人を増やすためには、社会や教育のシステムを変える必要がある。世の中に正解はなく、人と違うことをするのに価値があることに気づかせるのが重要だ。

本来、大学の教養教育が目指したのはこういう教育だと思う。ところが今は、先生が言ったことを再現して、点数を取ることが大切だと思わせるような教養教育になっている。それではあまり意味がない。

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