新日本プロレスがV字回復した「3つの理由」 倒産寸前から団体を蘇らせた人々の軌跡

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新日本プロレスでは選手層が一気に若返り、会場は熱気に満ちている。そこで見られる闘いは、かつてのアントニオ猪木や長州力の時代にあった遺恨や確執をテーマに置くものではなく、明るくて華やかな格闘エンターテインメントに様変わりしている。

棚橋弘至、オカダ・カズチカ、真壁刀義ら代表選手は、テレビやメディアにも多く出演。それぞれにスター性を発揮し、観客をぐんぐん引っ張っていく。また、プロレスを愛好する女性ファンは「プ女子」とも呼ばれ、2015年を代表する新たなトレンドにもなっていた。

なぜ、またプロレスがブームになっているのか?なぜ、新日本プロレスはV字回復することができたのか?その理由について考えてみたい。

理由1 広告宣伝含めた資本の支え

大きな転機となったのは、カードゲーム会社のブシロードが、2012年から新日本プロレスの新たなオーナーになったこと。ブシロードは交通広告やインターネットを中心にした大掛かりな広告キャンペーンを展開し「今、プロレスが流行ってる感」を演出。垂直立ち上げを狙った。具体的には、

・大会の宣伝CMをテレビ地上波で大量にオンエア

・山手線一編成11車両に出場選手の写真をプリント

・関東と首都圏のJR各線全車両に1枚、計9000枚の車内ポスターを掲載

・東京メトロほぼ全線(各一編成)に中吊りのポスターを展開し、中吊りジャック

など、多岐にわたる。

また、所属選手らにブログやツイッターを推奨するなど、時流にあったSNS戦略も見事にハマッたといえる。昔からのファンはもちろんのこと、ファンならずとも、プロレスへの接触頻度はかなり増えたと考えられる。大衆の記憶から消えゆくプロレスを、もう一度思いだしてもらうための戦略だったといえるかもしれない。

理由2 若きスターの出現

さらに2012年、当時23歳の若き天才レスラー、オカダ・カズチカが登場し、一気にメインイベンターに駆け上がる。

オカダの魅力は何と言っても191センチという身長の高さだ。その十分な脚力を生かして放たれるドロップキックは、高さが違う。ただのドロップキックが芸術品に変わるのだ。国際標準のサイズを持ち合わせたオカダは、新日本マットに新しい時代がやってきたと多くのファンに感じさせた。

ブシロードは「バディファイト」というカードゲームのテレビCMキャラクターにオカダを起用。子供たちがオカダの周りに集まり、名前を呼び捨てにして騒いでいるとオカダは「オカダさん、なっ!」とクギを刺す。この「オカダさん、なっ!」がヒットフレーズとなり、新日本プロレスの会場にはちびっこファンが多数押しかけるようになった。まるで1982年頃の初代タイガーマスクのブームを彷彿とさせるような勢いだ。

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