日本経済は円高で再び「耐える期間」に入った

世界を見ればドル安にするメリットが大きい

サミットに向けて欧州を訪問した安倍首相(写真:AP/アフロ)

日本のゴールデンウィーク中にも海外市場では円高が進行している。麻生財務相が円売り介入の可能性を示唆するなど、日本政府は円高に歯止めを掛けようとしているが、なかなか止まらない。3日の海外市場ではドル円はとうとう105円台にまで突っ込んだ。目先の下値を付けたとの見方もあるようだが、それはあくまで短期的な話であろう。

105円台をつけたドル円だが、現在の水準が真に円高なのか。筆者は本欄で、理解のしやすさを理由に円高という言葉を使用してきたが、本来は「対ドルでの円の上昇」と書くべきと考えている。というのも、125円台まで進んだドル円相場が、105円まで下落すれば、「感覚的には」円高ではあるが、それはあくまで125円からドル円が下落したに過ぎないからである。それぞれの水準で「感覚的に」相場水準を語るのは、本来は正しい行為ではないだろう。

ドル高で負担を強いられた新興国

表現の仕方はともかく、日本サイドが「円高」と捉えている現在のドル円の水準は、本欄でも繰り返すように、日米の実質金利差からみれば、まったくの適正レベルである。つまり、実体経済と市場金利の側面から見れば、現在のドル円の水準はきわめてフェアである。この点を理解しないと、現在起きている事象を理解できないだけでなく、将来起こりうる事象に対する備えもできないだろう。

世界的に見れば、いまはドル安にすることのほうが、メリットは大きいだろう。これまでのドル高により、日本などの先進国は景気回復を推し進めることができた。欧州も一定の回復を見せている。しかし、一方で負担を強いられたのが新興国である。

ドル高によるコモディティ価格の下落もあり、国家収入の大幅な減少や資金流出が景気・経済を苦しめてきた。また膨張するドル建て債務の負担がドル高でさらに増幅されており、財政悪化が懸念されてきた。しかし、これらの不安を払拭するには、ドル安にすることがいちばん手っ取り早い。ドル安になれば、国家や企業の債務負担は相対的に緩和される。また、ドル建てで取引されるコモディティ価格が反発することで、国家収入の増加も想定される。市場の不安定要素の一部が払拭されれば、市場に安心感を与えることができるだろう。

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