銀座の巨大な新名所はいかにして生まれたか 9年がかりで完成した東急プラザ銀座の全貌
美しくきらめく巨大な江戸切子──交差点からそのビルを見上げると、光によってその表情が刻々と変わっていくのがわかる。異なる文化と交差して大きく花開いた江戸切子のように、さまざまな出合いが新しい価値を生み出し、次の歴史をつくっていく場へ……。未来に向けて、東急プラザ銀座が始動する。
銀座の人の流れを変える起爆剤になる!?
東急プラザのなかで最も先鋭的で情報発信力のある施設となる東急プラザ銀座。新たなフラッグシップ誕生の狙いを、開発にかかわった東急不動産のふたりに聞いた。
東急不動産銀座事務所は、東急プラザ銀座建設予定地の真正面のビル内にあった。西銀座通り(外堀通り)に面した窓から見えるその姿は、光に反射してキラキラと輝いている。取材で訪れたのは、開業まで2カ月と少しに迫った1月中旬。グローバルブランドの旗艦店などが並ぶ路面部分には、まだ工事のための仮囲いがされていた。
不動産取得から約9年。担当者にはようやくここまでこぎ着けたという思いがある。2013年の建設着工までの5年間、銀座の街の特性を徹底的にリサーチして仮説と検証を繰り返した。そうして導き出したキーワードが「伝統と革新」だったという。会議室に置かれた建築模型を前に、同社銀座プロジェクト推進部の小玉潤さんはこう話す。
「銀座には高い格式の老舗もあれば、最先端のトレンドを受け入れる土壌もある。東急プラザ銀座の仮称である『銀座5丁目プロジェクト』は、そんな伝統と革新が共存する街の魅力を受け継いで、新しい文化やライフスタイルを世界に発信していきたい、という思いからスタートしました」
他にはない新しさを模索するなかで、まずは施設のシンボルとなるパブリックスペースを6階と屋上に設けることが決定した。11階建ての建物の6階の「KIRIKO LOUNGE」は、約27メートルの大吹き抜け空間。ここでは同じ東急グループの東急文化村と連携して、音楽や伝統芸能、アートなど、さまざまなイベントを定期的に開催することが決まっている。