富士フイルム、突然の社長交代でみえたもの

76歳の古森会長が、今でも絶対的な力を維持

助野氏が次期社長就任を知らされたのは、この4月に入ってからだという。中嶋社長は2012年6月に就任、4年間しか経ってなく、社内的にも今回の人事は青天の霹靂である。病気による社長交替で、通常ならば経営への影響は小さくないが、今回について混乱は抑えられそうだ。

続投する古森会長はまだまだ健在だ(撮影:尾形文繁)

写真フィルム市場が急縮小したことで、同社がその存在を問われていた2000年代初めとは違い、今の富士フイルムは事業基盤が強固になっている。複写機事業や医療機器事業などの安定事業を数多く抱える。

業績を見ても2016年3月期は、インスタントカメラ「チェキ」や内視鏡の売り上げが伸び、売上高2.4兆円(前期比横ばい)、営業利益1911億円(同10%増)と堅調だった。円高が見込まれる2017年3月期も、2.3%増収、15%の営業増益を見込んでいる。本業の屋台骨が急激に揺らぐ可能性は少ない。

強力なリーダーシップを誇る古森会長が続投することで、当面は現在の経営体制の枠組みがそのまま続きそうだ。中嶋社長に社長職を譲った古森会長だが、その後もCEOとしてトップの座を保ち続けてきた。中嶋社長もCOOとして全般を取り仕切る立場ではあったものの、あくまで古森会長の右腕的な立場で、現在でも実質的な最終決定権は古森会長にあると見られる。

注目される"ポスト古森"の座

従って社長交代後も、CEOとCOOの基本的な役割分担は変わらないだろう。会見で助野氏は、「正直言って今回は驚いたが、古森会長と中嶋社長からの信頼を感じ、私ができることはなんでもやろうと考えて引き受けた。これからは新事業の強化、効率的な経営によるROEの向上、海外の強化、という3点に取り組んでいきたい」と、意気込みを話した。

ただし、一時代を築いた古森会長も、はや76歳。一部では後継者問題も囁かれる。

古森会長が「中嶋君は会社の大事なポイントを押さえていた。(私と)非常にいいコンビネーションで経営ができた」と振り返ったように、古森会長の中嶋社長への評価は高かった。助野氏が新社長になって、従来と同じようにツートップで連携し、業績など数字の面でも古森会長の期待に応えられるかは未知数だ。

助野氏は将来のCEO候補なのか。この点に関して古森会長は、「彼は中嶋君の後継者」と、今はあくまで社長の後任と言うに留めている。いずれにしても、”ポスト古森”のカギを助野氏が握ることになったのは、間違いない。

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