調達多様化で価格交渉力向上狙う東京ガス 米国シェール革命と日本 《3》
いったん輸出許可を受けても、途中で輸出を凍結される可能性も否定できない。たとえば、米国内のガスが不足し、天然ガス価格が高騰すれば、米国内で輸出に対する批判が高まり、輸出凍結となるリスクがある。
こちらも17年の調達開始をメドに計画を進めている。
--調達規模としてはどのくらいですか。
米国のLNG調達計画は、住友商事と合わせて年間230万トン。その配分はまだ決まっていない。ちなみに、当社の11年度のLNG輸入総量は1147万トンだ。
カナダについてはまだ規模が決まっていない。プロジェクト全体の生産量が年間350万トンを計画しているが、参画企業が多く、1社当たり数十万トンになるかもしれない。
--これら以外の新たなシェールガス関連プロジェクト参画へのスタンスは。
積極的なスタンスに変わりはない。われわれはこれまで、代替のエネルギーの選択肢があまりないため、弱い立場で買ってきたのが実情。われわれ需要側としては、供給元をできるだけ多く維持することが交渉上、有利な条件となる。その意味で、あらゆる可能性を否定しない。いい話があればすべてに関心を示し、前向きに対応していくというのがスタンスだ。
--シェールガスの埋蔵量では米国を上回り世界最大と推定される中国をどう見ているか。
中国で資源が存在するのは四川省やタリム盆地などの内陸部であるが、近い将来に輸出されるとは見ていない。日本などに出荷するとなると、内陸部から海岸線までパイプラインを敷いて出荷基地をつくらなければならない。また、中国は膨大な人口を抱え、内需のポテンシャルも大きいため、輸出される前に国内で消費される可能性が高い。