調達多様化で価格交渉力向上狙う東京ガス 米国シェール革命と日本 《3》
■北米産シェールガスを17年に輸入へ
--東京ガスとして、シェールガスの重要性をどう考えていますか。
北米のシェールガスを導入することは、当社にとり優先順位の高い検討課題だ。原油価格リンクではない北米の価格体系(ヘンリー・ハブ価格)のシェールガスを日本に輸入できれば、調達先の多様化を通じて価格の変動を緩和できる。現状の価格のままであれば、調達価格の引き下げも可能となる。顧客にできるだけ安価な天然ガスの供給を実現したいというのが、われわれの狙いだ。
--現在、東京ガスでは、カナダのシェールガス開発プロジェクト(ブリティッシュ・コロンビア州コルドバ堆積盆地)に参画しています。今後の見通しと課題は。
まず、輸入のためのインフラ整備が課題となる。(内陸にあるコルドバから)太平洋岸までロッキー山脈を越えてパイプラインを敷き、LNGの出荷基地をつくる必要がある。
LNGの価格を下げることも課題。この案件に関与するのはメジャーの企業や日本の商社であり、これまで「アジアプレミアム」で日本を市場としてきたため、価格を下げる動機が希薄だ。そのため、価格面でどう折り合いをつけるかが重要となる。
今のところ17年ごろにLNGとして日本へ輸出開始することを目指している。
--米国では住友商事と共同で、コーブポイントLNGプロジェクト(メリーランド州)の事業主であるドミニオン社と、シェールガスを含む米国産天然ガス由来のLNG調達で先行契約を締結している。調達の実現性とタイミングは。
米国では当社参画のコーブポイントを含め、現在15件のLNG輸出計画が政府に許可を申請中だが、日本を含めた非FTA輸出国に対してはまだ許可が下りていない。15案件のすべてが通るとは思えないので、まず許可対象の中に入ることが課題となる。