最初から決定事項としてお手紙を出すのではなく、いったん「これについて、ご意見のある方はご連絡ください」というお手紙を出せばよかったのです。わたしは、その一手間を省いてしまいました。
そのワンステップを踏んでいれば、もしあとから反対の声が聞こえてきても気にしなくて済んだでしょう。そこを省いた負い目があったから、あとでクヨクヨと気に病むハメになったのです。
成功するPTAは手間をかけている
そのときは、「反対の人はたぶんいないだろう」と思い、決定事項として話を進めてしまったのですが、もしかしたら私のなかで無意識に「反対する人が出てきたら面倒だ」という気持ちもあったかもしれません。
でも、結局こんなに長く後味の悪い思いをするんだったら、先に反対意見の人とよく話をしておいたほうが、精神的な負担はずっと少なかったろうな、と思いました。
取材をしていると、ときどき「よくぞ、そんなPTA改革を実現できましたね」と思うような事例があるものですが、そういったケースもよくよく話を聞くと、会長さんをはじめ役員の人たちが、じつに丁寧に対話や話し合いの手間をかけているものです。
詳しくは回を改めて紹介しますが、たとえば改革事例でよく知られる大田区立嶺町小学校PTOも同様です。
提案事項への意見や反論を団長(会長)が直接ヒアリングするための時間をもうけたり、少人数しか集まらなくても臨時総会をこまめに開いたりと、合意形成にかける労力を惜しんでいません。アンケートも丁寧に、何度も、実施しています。だから、あれだけの改革を実現できたのだな、と納得させられます。
合意形成の努力が必要なのは、PTAを運営する側だけではありません。私たち一般の会員の側にも、声を上げて、対話や話し合いに参加する努力が求められるでしょう。
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