丁寧な合意形成には手間ひまがかかるものですが、ここを省けばPTAは一般会員にとってより遠い存在になり、役員決めも難航することになるので、運営する人たちも苦労することになります。
一手間を省いたために、保護者間に大きな溝が!
たとえば、最近聞いたのはこんなトラブルです。
あるPTAで、本部役員の人たちがアンケートを行いました。すると、活動の削減を望む意見が多数だったため、スリム化を推進したそうなのですが、実はこのアンケートの回答数がとても少なかったことが、後から判明しました。
役員の人たちは、回収率を伏せたまま結果を公表し、これを「保護者の総意」として強引にスリム化を進めてしまったため、ほかの保護者から不満が噴出。結果、保護者間に大きな溝が生まれてしまったそうです。
合意形成の手段としてアンケートを行うことは、筆者もおすすめしてきました。でも実は、アンケートというのは意外と難しいものです。設問や実施方法次第で、欲しい結果を導く操作ができてしまうからです。ですが、そんな恣意的なアンケートを行えば当然みんなも気付きますから、不信を招くことになります。
ですからこの場合、面倒ではあっても、回収率が低かったことを添えて結果を公表しつつ、別途意見を問う機会を用意するなどして、もう少し丁寧に話を進めることが必要だったのではないかと思います。
えらそうに書いていますが、じつは筆者にも失敗経験があります。
昨年度、子どもの小学校で6年の学年長(各学級代表の取りまとめを行うPTAの役職) をやったのですが、そのとき例年行われてきた卒業関連のある仕事を、諸事情により、なくしました。
事前に軽く根回ししたところ、ほとんどの人が賛成だったので、決定事項として手紙で周知したのですが、あとから「あれについて、文句を言っている人がいたよ」という声を、ごく少数ながら、伝え聞くことになったのです。
しばらくの間、「どうすればよかったのかな?」とクヨクヨ考えていたのですが、はたと気づきました。私が合意形成の手間を惜しんだから、こうなったのです。
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