「地震で家屋倒壊」を生き延びる現実的な方法 命を守るための最低限の空間は確保できる

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 フジワラ産業は創業時、シリンダーを動かす油圧装置を営業していました。その後、水環境事業に参入します。上下水道処理場の沈殿池に浮遊する「スカム(油性などのゴミ)除去装置」や、沈殿池の底に溜まる汚泥を一か所に集める「汚泥掻き寄せ装置」を開発しました。

特に後者の「掻き寄せ装置」は、1890年頃アメリカで開発され、池の底に2列のチェーンと大きな板を設置する巨大なものだったそうです。たまたま民間企業から役所に転職した人から、「民間ではこんな不経済な装置は使わない。藤原君、何かアイディアはないか」と相談されました。藤原社長の発明家魂に火が点きます。3年間の研究の末、1列のチェーンに改良しフジワラ式として、1990年に特許を取得しました。

「タスカル金庫」も発売

中央が藤原社長

さらに、東北原発事故から電気不足が叫ばれたので、世界で初めて電気を使わない水圧式の「汚泥掻き寄せ装置」も開発しました。

海外でも注目され、カナダから見学に来て、その後、納入することが決まりました。藤原社長はその時のことを、「外国で開発された機械が逆輸出できました。まさに技術屋冥利に尽きます」と感慨深げに語っています。

最近では、津波から金庫を守る全国初の金庫流出防止装置「タスカル金庫」も発売しました。BCP(事業継続計画)が重要視される中で、中小企業は、何よりもまず、金庫を守らねばなりません。津波に遭っても、土地の権利書、印鑑、小切手帳等が金庫に残っていれば、茫然とせずに次の行動が起こせます。

金庫は、浮力で簡単に浮いて流されます。東北では5700個以上が流されたと言います。この金庫に固定バンド金具を取り付け、アンカーにステンレス・チェーンで連結し、土壌深く打ち込んだ杭や頑丈な柱に繋いで守る仕組みです。当社はまた、地震から工場や倉庫内の従業員を守る「タスカルスペース」も商品化する等、企業防災用「タスカルシリーズ」の一層の充実を図っています。

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