「カレー」の真実をどれだけ知っていますか この蘊蓄100章は思わず人に話したくなる

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81. 日本式カレーは多様な広がりを見せているが、「日本一のカレー激戦区」と呼ばれるのが東京・神田神保町

82. 神保町は幕府の膝元として江戸時代から発展。明治以降は明治大学、日本大学等の前身となる学校が続々創立

83. 学生街になるにつれ書店数も増え、飲食店も開店するが、1923年に起きた関東大震災で多大な被害を受ける

84. しかし翌24年には、「共栄堂」が当時珍しい「スマトラカレー」を売り物に洋食店として開業

85. 初代店主が友人からスマトラ島のカレー調理法を教わったのをきっかけに日本人の口に合うようアレンジ

86. また同年、神田須田町では「須田町食堂」(現・聚楽)が創業し、メニューのなかにカレーを掲げた

スプーン1本で手軽に食べることができる

カレー激戦区の神保町

87. 学生街でカレーが愛されたのは、本を読みながらスプーン1本で食べることができる手軽さだったといわれる

88. 現在、神保町には60軒以上ものカレー店があるとされるが、共栄堂に次ぐ老舗が1973年開店の「ボンディ」

89. 創業者・村田紘一は米飯に合うルゥを追求し、ドミグラスソースを中心にした「欧風カレー」を考案

90. ボンディの欧風カレーは当時の料理界を席巻したが、その味は現在も進化を続け人気店となっている

91. 1981年にカレー屋兼とんかつ店として開業した「まんてん」は〈安くてうまい店〉の代名詞だ

92. 店名は〈学生がテストで満点をとれるように〉との思いから名付けられたもので、人気メニューはかつカレー

93. 1988年にカレーとコーヒーの専門店としてオープンした「エチオピア」は創業当時からの看板が目印

94. 看板には「インド風カリーライス」の文字があるが、スパイスを吟味したカレーの味、香りにファンが多い

95. 神田神保町では2011年から「神田カレーグランプリ」を毎年開催。初年度は「ボンディ」が大賞に輝く

96. 2012年は大量のトマトを使用した「バターマサラ」で人気の「インドレストラン マンダラ」が受賞

97. 2013年には古きよき昭和風カレーの「日乃屋カレー」、昨年は「100時間カレーB&R」が優勝している

98. 2013年「カレーハウスCoCo壱番屋」は〈世界で最も大きいカレーチェーン店〉としてギネス認定された

99. ラーメン店と異なり、大量のスパイス購入が至難なことからカレーチェーン店は存続が難しいとされてきた

100. そのなかにあって愛知の壱番屋はハウス食品と提携。国内外で1300店舗以上を展開し、現在も拡大中である

(文:寺田 薫/モノ・マガジン2015年11月2日号より転載)

■参考文献
参考文献・HP/「カレーの歴史」(原書房)「カレーライスの誕生」(講談社)「カレーライスの謎」(角川SSコミュニケーションズ)、ヱスビー食品、ハウス食品、壱番屋、カレー総合研究所、神田カレーグランプリ事務局ほか関連HP
モノ・マガジン編集部

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