ハーバード生を「日本で接待」して見えたこと 存在感の薄い日本をアピールする方法

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ほかにも1990年代の大虐殺から国を復興し、今やルワンダを成長国に導いたポール・カガメ大統領との懇談会がある東アフリカトレック、政府が参加者の旅費を全額負担するというUAE(アラブ首長国連邦)トレックなど、様々な地域や国への旅行が年間を通じて催される。

そんな他国との競争に加え、日本の地位の低下も影響してか、過去には日本トレックは参加者集めに苦労してきた。

ハーバード生が見た、安倍首相と福島第一原発

今年も参加者が集まるのだろうかと心配していたのだが、幸いにもこれまで以上の人数を確保できた。先手を打って開催の告知に努めたためで、予想以上の学生からの支持を得られた。

なぜ彼らは数ある行き先の中で日本を選んだのか。参加者に聞くと、原発と復興、少子高齢化、最先端のロボット技術、といった真面目なものから、本物の寿司と日本酒を楽しみたい、京都の古い街並みを歩いてみたい、迷路のような東京の地下鉄を体験したい、など軽いノリのものまで要望は幅広い。

実は今回の旅には大きな目玉が2つあった。安倍晋三首相との会談と福島第一原発への訪問だ。

国を代表する首脳との会談は、各トレックの売りのひとつだ。ほかのトレックも首脳級との会談を実現し、参加者募集の目玉に使う例が多い。

首相官邸で開かれた約30分にわたる会談では、ドイツの学生が安保法案や女性活用について質問。終了後には首相自ら全学生と握手するなど、首相のおもてなしに感動していた。

また福島第一では発電所の敷地内にまで入場。バスの内部から4号機の前まで訪れ、原発の現実を目の当たりにすることができた。

ほかにも企業見学(トヨタ自動車、JR東日本)、塩崎恭久厚生労働大臣との会食、遠藤利明東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当大臣や社会起業家との懇談会、京都大学のiPS細胞研究所の訪問など、日本人学生らが様々な催しを企画した。

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