例えば学生数。かつて優に20人を超えたというケネディスクールの日本人学生は現在10人しかいない。
米国の大学院には世界中から応募が集まる。限られた合格枠は大まかにアジア枠、欧州枠、南米枠、アフリカ枠などに分けられる。日本の地位の低下とともに、アジア枠内での日本が占める数は減っているのが現状だ。
一方で増えているのが中国やインドといったアジアの新興国だ。ハーバード大学によると、ハーバード全体での学生数は日本が88。一方で中国は818、韓国は293、インドは257、ASEANは254という。
日本の話題がほとんど出ない
授業でも日本に話題が及ぶことは少なく、アジアといえば中国やインドが多い。
例えば外交分野で最も人気の高い授業「超大国の争い」。世界を5つの超大国に分け、それらの国が国際的な問題にどう対応するかを考えるという内容だ。
扱うテーマは南シナ海の領土問題、気候変動、シリアの内戦など多岐にわたる。当然のことながら世界3位の経済大国である日本が超大国のひとつであると考えるだろう。だが、日本は超大国に入っていない。
米国の国務省で要職を歴任したニコラス・バーンズ教授の定義によると、現代の世界の超大国は米国、EU(欧州連合)、中国、ロシア、インドであるらしい。
ほかにも経済系の授業でも米国や欧州、中国が中心で、途上国と言えばインドやブラジルなどが話題になることが多い。
ハーバードで授業を受けていると、自ずと日本の影響力の弱さを痛感せざるを得ない。
実際、こういった日本の地位の低下は今回の日本旅行にも影響した。
日本旅行を催した3月の1週間は、春学期の中間休みにあたる。そのため各国の学生が自国のPRをかねて旅行を計画したり、学生団体らが興味のある国への旅行を催したりするなど、日本以外に様々な旅行(通称「トレック」)が企画される。
行き先は世界各国にわたる。キューバ、南アフリカ共和国、イスラエル、パレスチナ、北朝鮮、中国、パキスタンなどライバルは多い。