「フリー40歳定年」がテレビをつまらなくした 経費削減がもたらした放送作家の変質とは?

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フリーランスを生業とする人物は、40歳になると仕事の数が減り、挙句に廃業に追い込まれるという警句がある(写真 :gootaro / PIXTA)

「自分は、放送作家をやっています」

初対面でそう名乗ると、相手は一瞬「へえ」と目を見張り、感心とも畏敬ともつかぬ表情になる。大袈裟ではない。「放送」という言葉の持つ煌びやかなイメージと、「作家」という知的さを匂わす心象の接合は、肩書きとして人の興味を惹くのに十分すぎるのかもしれない。

もう堂々と放送作家を名乗れない

事実、筆者もこれまで、幾度となくそういった反応に直面してきた。ある時期まではそれを誇らしく思いもしたが、現在はどこかこそばゆく、申し訳なくも感じている。自身が担当する番組の減少もある。しかし、理由はそれだけではない。胸を張って、放送作家なる肩書きを名乗れなくなったのだ。それは何故か。

答えは簡単だ。昨今のテレビ番組が面白くないからである。いや、すべてのテレビ番組が面白くないわけではない。良い番組もドラマもあるにはあるし、それらの制作スタッフの奮闘ぶりには本当に頭が下がる。素晴らしいと思う。

しかし──、「どこかで見たような内容」「変わり映えのしない出演者」「自由度の少ない展開」。これらの批判が、耳に入るのは厳然たる事実である。また、自らもそう感じなくもない。確かに似たような番組が増えた。それは誰しもが感じていることだと思う。そこで、放送作家を名乗る立場上、関わる一端の者としては、昨今のテレビ番組の現状について、その責任と自身の至らなさを痛感してしまうのだ。ただし、「テレビがつまらなくなった」という声は昨日今日に始まった問題ではない。テレビ全盛の80年代にそういった論評を書いていた評論家までいる。どの時代においてもその手の意見は必ず鎌首をもたげる。

そんな声に配慮しつつも、筆者は昨今のテレビ文化の凋落の要因に、番組における放送作家の立ち位置の変化も、存外影響しているのではないかと考えている。そこで、放送作家とは一体どういう仕事をするのか、まずそこから説明していこうと思う。

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