「フリー40歳定年」がテレビをつまらなくした 経費削減がもたらした放送作家の変質とは?

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そして──、当然ながら、それは番組予算にも波及している。放送作家をテレビ局員と勘違いする人も中にはいるが、そうではない。皆、外注の出入り業者だ。その都度ギャランティが支払われる。しかし、番組の予算が削られるとなった場合、真っ先に対象となるのは構成料、つまり放送作家の報酬である。「台本を書いて」「構成を考えて」「ナレ原稿も書いて」という作家業務は、基本的にディレクターも兼務できるからだ。

構成料が削られるとなると、放送作家の数は当然厳選される。これまで一つの番組に4人の作家が入っていたとすれば、その半分に減らされるのは日常茶飯事だ。中には作家を入れない番組も増えてきた。

最近、3時間や4時間の特番がつとに増えたのも、そこに理由がある。「作家のギャラ」という視点で見ると判りやすい。

長時間番組を作れば作家のギャラが浮く

例えば、4時間の空白枠があるとして「1時間番組を2本」と「2時間特番を1本」でその枠を埋めるとする。となると、ひとつの番組につき、4人の作家を入れるとして、合計12人分のギャラが必要となる。しかし、4時間枠をひとつの番組にしたらどうなるか。

長尺ということを加味して、6人の作家を入れたとしても、たったの半分で済む。テレビ局にとっては、「作家のギャラが6人分浮いた」ということになる。しかし、放送作家の立場から見れば、6人分の仕事がなくなったということだ。これこそ、予算削減がもたらした、放送作家淘汰の実状である。

かつて、民放テレビ局に在籍した80代の人物は、以前筆者にこんな話を聞かせてくれた。

「最近は、あんまり作家を入れない方針らしいね。第一に予算の問題。俺が放送の現場にいた頃は、『この人よく判んないけど面白いから番組に入れてみよう』という作家さんが大勢いた。お金があったんだね。飲み屋で出会ったチンピラ風の人が、アイデアマンだったから作家になってもらったこともあった。今そういうことをしないのは予算がないのと、それと……」

もうひとつ理由があるのだ。

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