幼児期の「お勉強」効果は、先々まで続くのか 幼児教育をどこまでやるべきか

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1.小学校受験をするための勉強はしていない(私の塾では公立の小学生が対象だったため当たり前かもしれませんが、特に小学校受験の勉強をしていなくても、トップの高校や有名大学へ進学した生徒が多数います)
2.野球、水泳、ピアノといった習い事は何かしらしていた(勉強だけに集中していたわけではない)
3.生活習慣に関して、家庭でしっかりと教えられている傾向がある(100%ではありませんが、かなりの確率でなされている)
4.友だちとたくさん遊んでいる

 

以前の記事でも書きましたが、難関大学に合格した人の小学校入学前では、「思いっきり遊ぶ」「絵本を読み聞かせ」「好きなことに集中する」ということが共通していると発達心理学の分野でも言われています。やはり、そうなのです。いわゆる伸びる子たちは、勉強をやってばかりの幼少期を過ごしてはいないのです。

それでもやるなら、何に留意すべきか

しかし、そうはいっても「少しは何かを学ばせたい」と思う場合もあることでしょう。そのときに何をすべきでしょうか。

幼児教育が流行しているような状況ですので、さまざまなものを目にする機会があるかと思いますが、個人的には、特殊な勉強は必要ないのではないかと思います。それよりもおすすめしたいのは勉強の基礎・基本、つまり“読み・書き・そろばん”です。

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読みは、絵本を使った読み聞かせを、書きは、ひらがな、カタカナや簡単な漢字の練習がいいでしょう。それらを「楽しんでやれるようやり方を工夫する」のです。そして、文字がわかってくると、見るもの聞くものの意味が色々わかってきて、お子さんは知識に対して好奇心を持つようになるでしょう。

“そろばん”は習い事に通うのもいいでしょうが、必ずしもそれでなくても、足し算や引き算といった計算をドリル学習として毎日1枚こなすことを習慣にしていくのでもいいでしょう。

ここで大事なのは、勉強そのものというより、勉強を習慣化させることです。幼少期の勉強の効果は長続きはしないかもしれませんが、日常の中で勉強を習慣化させることができれば、長いスパンでみたときに大きな力となってくるはずです。

全ての未就学児を調査しているわけではないので、私のこれまでの経験と、文献や統計の調査結果の内容からしかお話できませんが、まとめると、次のようなことがいえるでしょう。

1.未就学児は特に“いわゆる勉強”をする必要はない
2.ただし、気になる場合は、基礎基本である“読み書きそろばん”をプリント形式で勉強の習慣化という意味でやってもよいだろう
3.遊びを重視する(第32回の記事参照:事実!できる子は「遊びの質」が優れている

 

以上、ご参考いただき、ご家庭の方針にしたがって、どうすべきかご検討いただければと思います。

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