「初音ミク」現象が拓く“共感”力の新世界

伊藤博之・石川康晴・猪子寿之 特別鼎談

 猪子 案外、理解できないんです。ガリレオの地動説を世間が受け入れたのは、ガリレオより上の世代が全員死んだときですよ。全員が死んだとき、一瞬にして当たり前のように、地球は回っているということになった。そういうものなんですね。

伊藤 ミクっていう存在はこうしてみんなにいじられて、成功して失敗して、新しい発見をしていく実験の場でもあると思うんですよね。

インターネットが登場して20年かそこら。次の20年、50年には相当なことが起こっているでしょう。そのとき、ネットに上がってくる情報というのは、人に好かれたい、ビックリさせたいというコンテンツ。紛れもなく、共感だったりするわけです。利益とか報酬ではなく、感謝とか共感という価値がさらに大きなウエートを占めているのではないか。そうなってほしいという願望を含めての話ですけれど。

はつね・みく
2007年生まれ。生みの親はクリプトンの伊藤社長。「歌声合成」ソフトとして歌い続け、イラスト・動画として、今この瞬間も変化し続ける。米国でライブショーを開き、グーグルやトヨタ自動車のCMにも起用された。

いとう・ひろゆき
1965年生まれ。北海道大学職員を経て95年に音素材を扱うクリプトン設立。2004年ボーカロイド(歌声合成技術)のソフト『MEIKO』開発。07年『初音ミク』を発売。

いしかわ・やすはる
1970年生まれ。95年にクロスカンパニー設立、「アースミュージック&エコロジー」ブランドなどを展開している。宮崎あおいをCMに起用し話題に。全員正社員制を提唱する。

いのこ・としゆき
1977年生まれ。2000年、東大・東工大の仲間とともに「ITと文化による日本再生」を掲げチームラボ設立。ルーブル宮殿にて作品「花と屍」を展示するなどデジタルアートの先駆者でもある。

(梅沢正邦、中村陽子 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済2012年9月29日特大号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 

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