新型ワゴンRで試されるスズキ国内販売の「真価」

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新型ワゴンRで試されるスズキ国内販売の「真価」

「何事も、これだけは一番というものを持っていなくちゃ。これからは目の色を変えて、一番を取りにいく」。9月6日、都内で開かれた新型「ワゴンR」発表会。鈴木修会長兼社長は独特の言い回しで、「軽トップ」奪回を宣言した。

ワゴンRは、言わずと知れたスズキの最量販車種だ。1993年の発売以来、累計販売台数は377万。後方に向けてせり上がる独自のスタイリング、広い室内空間で「軽ワゴン」という新ジャンルを切り開いた。

5代目となる新型ワゴンRの最大のウリは、燃費性能。減速時の運動エネルギーを電気に変えて、エアコンなど電装品に必要なすべての電力を賄う「新機構」を搭載。停車前の減速時には時速13キロメートル以下でエンジンが止まるアイドリングストップなども導入し、クラストップの燃費性能28・8キロメートル/リットルを達成した。

「新機構はコストが高いはず。よくこの価格を実現できた」。ライバルメーカーの幹部はそう漏らす。新機構には一般的に価格の高いリチウムイオンバッテリーを搭載している。にもかかわらず、価格は従来車に比べ約5・7万円高に抑えた。電圧調整を必要としないシンプルな機構としたことや、車種グレードを二つに絞り、部品共有化を積極的に進めた。開発担当者の松井時男チーフエンジニアは「1台当たりの採算性は、むしろ以前より高い」と胸を張る。

シェア低下続く中で主力車種を前倒し投入

「車を財産というより、移動手段としてとらえる人が増えた。移動手段なら、軽で十分」(鈴木会長)。確かに消費者の軽自動車に対する支持は広がっている。今年1~8月、乗用車販売に占める軽の比率は34・1%。新車の3台に1台は軽という時代になった。昨秋にはトヨタ自動車が軽市場に参入し、すべての乗用車メーカーが軽を販売している。

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