健康診断「異常なし」なのに糖尿病発覚のナゼ 詳細な検査でないと判断できないものは多い

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人間ドックは、健診よりも詳細な検査項目がある。胃カメラや大腸内視鏡検査、肺を輪切りにして映すコンピューター断層撮影(CT)、乳がんの有無を調べるマンモグラフィ、さらには、オプションでがんの有無を推測できる血液検査の腫瘍マーカーなど、がんや臓器の異常の早期発見に役立つと考えられている。企業も、費用の一部を負担し、一定年齢以上の社員や家族への受診を促しているので、すでに受診している人もいるだろう。

「人間ドックは、確かに健診よりも検査項目は充実しています。しかし、早期がんを見つけるには、がんの種類にもよりますが診断の技術レベルの高さが求められます。そのため、毎年人間ドックを受けていたのに、体調不良で受診したら、がんが見つかったということが起こるのです。漠然と人間ドックを受けていても、病気の早期発見に必ずしもつながらないと考えるべきです」

わずかな変化を見逃さないことが重要

こう話す北條氏が挙げる4つのポイントは次のとおり。

① 当然のことながら、健診や人間ドックで要再検査が出たときは放置しない。

②両親など親族にがんや生活習慣病などの病気の人がいた場合、遺伝的なリスクを検査前に伝える。また、それに合わせた検査オプションを選ぶ。

③日頃の体調管理を心掛ける。ジムなどに血圧測定器があれば、血圧を定期的に測定するなど、自己管理に努める。

④体調不良は放置しない。仕事の合間に医療機関への受診を。

「健康管理にご自身で気を遣っていると、微妙な体調変化というのは、わかるはずです。私は、健診や人間ドックに頼るのではなく、わずかな変化を見逃さないことが重要だと思っています」と北條氏は話す。

健診や人間ドックで「異常なし」だからといって安心せずに、日頃の体調管理に努めたい。

安達 純子 医療ジャーナリスト

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あだち じゅんこ / Junko Adachi

東京生まれ。医療ジャーナリスト。医学ジャーナリスト協会会員。大手企業のOLから転身。フリーランスの雑誌記者としてさまざまなジャンルの取材を行う中で、病気の発生メカニズムに興味を持ち、医療関係の記事の執筆に比重を置くようになった。現在は、先進医療といった最新の医療状況をはじめ、免疫疾患や感染症などに強い関心を持つ一方で、生活習慣病といった身近な病気を対象とした記事を数多く新聞等で連載中。身体に個人差がある中で、その人にとっての健康とはなにか。病気の仕組みはどこまで解明できるのか。また、未知の病気の正体はどこにあるのかなどをテーマに現在取材を進めている。

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