しかし、2型糖尿病の方の中には、空腹時血糖値は正常でも、食後の血糖値が異常に高くなっていることがあるのです。それは健診の空腹時血糖値検査ではわかりません。そのため、Aさんのように、あらためて医療機関を受診して病気が見つかることは珍しくないのです」と、『医者が自分の家族だけにすすめること』(祥伝社)の著者で、医学博士の北條元治氏は指摘する。
血糖値の血液検査では、過去1カ月程度の平均を推測できる「ヘモグロビンA1c」という方法もある。また、空腹の状態で糖の一種のグルコースを服用し、30~60分ごとに血液を採取し、空腹時と服用2時間後の血糖値の状態を調べる「糖負荷試験」もある。このような検査で、医療機関をあらためて受診したAさんは、糖尿病と診断されたのだ。
毎晩の飲酒と肝機能の関係
「会社の健診は、労働安全衛生法で定められ、血糖値や高血圧などの生活習慣病の疑いについて調べることは可能です。しかし、検査方法が詳細とは言えず、肺のレントゲン撮影では、早期の肺がんを見つけることは難しく、糖尿病や高血圧も、必ずしも診断できるとは限りません。私自身、毎年健診を受けていますが、遺伝的な高血圧とわかったのは健診以外の血圧測定だったのです。体調不良を感じたときには、健診に頼るよりも、医療機関を受診して詳細な検査を受けたほうがよいと思います」(北條氏)
健診では肝機能を調べる血液検査もある。アルコール肝障害を起こしているか推測できるγ-GTP、肝臓の炎症に関わるAST(GOT)やALT(GPT)は一般的だろう。40代の会社員のBさんは、付き合いも含めて毎晩の飲酒が習慣化している。健診の前の日も、仕事の接待で酒を飲んでしまった。ところが、健診結果で肝機能は異常なし。「毎晩飲んでも大丈夫なのか?」と不安を感じつつも、毎年の健診結果で安心感を得ているという。Bさんのようなケースでは、肝機能についてどう考えればよいのか。
「健診数値で肝機能に異常がなく、体調も悪くなければ、あまり心配する必要はないと思います。私は、健診より検査項目が多い人間ドックを毎年受けていますが、前の晩は、7時までに固形物を食べ終えて、その後、お酒を飲んでいます。それでも、肝機能の検査に引っ掛かったことはありません。適量の飲酒であれば、肝機能に悪影響を及ぼさないのです。もちろん、医師としては健診の前の晩の飲酒は勧められませんが、友人が前の晩に適量飲んでも止めません」(同)
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