イトーヨーカ堂改革の成否 パート比率を9割に
「これはGMS(総合スーパー)の大改革だ」
8月下旬、イトーヨーカ堂の店長会議の壇上、鈴木敏文セブン&アイ・ホールディングス(HD)会長は並み居る店長たちを前に宣言した。コンビニ事業の拡大で今2013年2月期も最高益を更新する見込みのセブン&アイHDが、長期低迷にあえぐヨーカ堂の抜本的なリストラにようやく動き出した。
再生策では、16年2月期末の正社員を現在の約8600人から半減する。ただし、希望退職の募集などは行わず、グループ間での転籍やコンビニのセブン−イレブン・ジャパンのフランチャイズ店オーナー就任(独立)を促す。代わりにパート従業員の採用は強化する。全従業員に占める比率を9割(現8割弱)まで引き上げる。店舗従業員の人数は約2500人増えるものの、パート化で総人件費は逆に7%(約100億円)程度圧縮できる計算だ。
カジュアル衣料のユニクロなどの専門店やディスカウントストアに押されるGMS。ヨーカ堂も12年3~5月期(第1四半期)の営業利益は23億円と前年同期比で半減以下となった。前年は東日本大震災の影響で、買いだめ特需が発生したことや生活必需品の需要が高まったことから既存店売上高が底上げされており、今期は特需剥落を見越した予算を立てていた。それでも、客足の回復による多少の上乗せ期待はあった。
が、第1四半期の既存店売上高は前年同期比3・2%減。天候不順で6月以降も冴えない。消費税増税後は、値引きが一段と加速するとの見方もある。その結果、被災地支援もあっていったん中断していた不採算店の閉鎖を再開し、正社員の削減にも踏み込まざるをえなくなった。
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