孫正義は「中学英語」で世界トップと交渉する 元社長室長が間近で見た「伝わる英語」
また、プレゼンにおいてキーメッセージは、そのプレゼンのカギであり、何度も出てくることがあります。そうしたときに使うと便利な表現が「As I said~」です。
As I said in the first part of my presentation, U.S. has been No.1.
(私がプレゼンの最初の部分で申し上げましたように、合衆国はNo.1であり続けています)
これは、アメリカでの講演での孫正義の発言です。プレゼンの最初の部分ですでにふれたことについて言及しています。
中学レベルの非常に簡単な英語「As I said~」に前置詞の「in」をつけて、そのメッセージがどこでの発言だったかを特定しています。孫正義は時には「As I said」だけで終わらせてしまうこともあります。それでも聴衆は、「ここが重要なんだな。だから繰り返し強調しているんだな」と感じることができます。
重宝する英単語「wise」「key」「with」
知っていると役立つ単語のひとつに「wise」があります。もともとは副詞をつくるための接尾語ですが、日本語と同様に「的」「に関しては」というような使い方ができます。たとえば、「anywise」は「何事に関しても」という意味に、「moneywise」は「金銭面では」という意味になります。
「key」もとても便利な単語です。
This is a key request I got.
(これが、私が受けたカギとなる要望です)
実際、「key」も孫正義が最もよく使う単語のひとつです。事業展開をするうえで最も重要な要素は何かということを強調する時に、大変重宝するからです。
たとえば、カギとなる技術を問いたければ「key technology」、カギとなる人物と言いたければ「key person」となります。「key」の後ろに重要な対象となるものの名詞を付け加えるだけでよいのです。
また、孫正義は前置詞の使い方が非常にうまいといえます。
We need a new weapon to fight back with technology.
(技術によって反撃するため新しい武器を必要としている)
注目すべきは「with technology」という表現です。「with」という前置詞を使うことで、「We need a new weapon to fight back」という簡単なセンテンスの根幹に「手段として」という要素を付け加えています。
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