孫正義は「中学英語」で世界トップと交渉する 元社長室長が間近で見た「伝わる英語」

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孫正義の「with」を活用した他のセンテンスには、次のようなものがあります。

We bring the partnership with the respect of each other.
※theはよりナチュラルな表現とするため、筆者が追加
(我々は互いに尊敬の念をもってパートナーシップを結んでいます)

この場合も、センテンスの根幹である「We bring the partnership」に「with the respect of each other」という前置詞を使った表現を付け加えることで、より深い意味を与えることに成功しています。

孫正義がよく使うセンテンス

『なぜあの人は中学英語で世界のトップを説得できるのか――孫正義のYesと言わせる技術』(祥伝社 / 254ページ)画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

SoftBank delivers superior value to Sprint shareholders. I’m confident about that.
(ソフトバンクはスプリント社の株主にさらなる価値を提供します。私はそのことに自信を持っています)

I’m confident about that」は、孫正義があることに対して自信を示す場合に使うものです。先の例文は、文法的には「I am confident that the SoftBank delivers superior value to Sprint shareholders.」となりますが、あえてキーメッセージである「SoftBank delivers superior value to Sprint shareholders」を最初に言っています。口頭で話している以上、センテンスが多少前後に入れ替わったとしても問題はありません。

また、孫正義が最もよく使うセンテンスのひとつに次のようなものがあります。

I’d like to say that SoftBank and Sprint will make a strong commitment.
(私は、ソフトバンクとスプリント社は強いコミットメントをするだろうと申し上げたいと思います)

孫正義は、特にスピーチの最後で「I’d like to~」を多く使います。プレゼンの後半で、このセンテンスだけが何度も繰り返されることもあります。

I’d like to~」というセンテンスは、中学で習う簡単な成句です。しかし、このセンテンスに自分自身の意思を続ければ、プレゼンの核となり得るということです。

ちなみに孫正義は、プレゼンを常に「Thank you very much」で始め、「Thank you very much」で終えています。

このように、中学英語レベルのシンプルな単語やセンテンスであっても、使い方のポイントさえわかっていれば、孫正義のように世界のトップ経営者ですらも説得できるようになるのです。

三木 雄信 トライオン代表取締役

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みき たけのぶ / Takenobu Miki

1年で"使える英語"をマスターする「One Year English プログラム」"TORAIZ"を運営するラーニングテクノロジー企業 トライオン株式会社代表取締役。1972年、福岡生まれ。東京大学経済学部卒業。三菱地所を経てソフトバンクに入社。元ソフトバンク社長室長。マイクロソフトとのジョイントベンチャーや、ナスダック・ジャパン、日本債券信用銀行買収、およびソフトバンクの通信事業参入のベースとなったブロードバンド事業のプロジェクトマネジャーを務める。現在は、東証一部やマザーズ公開企業のほか未公開企業の社外取締役・監査役などを多数兼任。プロジェクトマネジメントや資料作成、英語活用などビジネスコミュニケーション力向上を通して、企業の成長を支援している。著書に『海外経験ゼロでも仕事が忙しくても英語は1年でマスターできる』『世界のトップを10秒で納得させる資料の法則』などがある。

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