――学業を重視する、ということですね。
昨年11月に就職問題懇談会の吉岡知哉座長、榊原定征経団連会長、そして私の3者会談でスケジュールの変更を決定した。その時に採用活動において学業を重視してほしいと伝えた。具体的には、採用試験で学生から履修履歴(成績証明書等)を提出させて、その内容を合否の判定材料にするように要請した。学生の本分は学業なのだから、面接時に課外活動についてばかり聞くのではなく、どんな学問を、どの先生から学んだのか、成績はどうだったのか質問していただきたい。
――昨年12月に経団連が発表した「採用選考に関する指針」の手引きの中に「大学等の履修履歴について一層の活用を検討することが望ましい」と書かれています。経団連の文書に「履修履歴」という文言が入るのは異例のことです。文科省から書き込むように要請したのですか。
こういった文章を入れるように私から強く榊原経団連会長にお願いした。学生の本質を見てほしいと言うことだ。これまで安倍晋三首相も下村博文・前文部科学大臣も学業重視を強調してきた。
スケジュール変更は考えていない
――大学関係者や企業の採用担当は8月から6月への変更を歓迎しています。しかし、以前のように4月選考開始のほうが、より好ましいという声があります。2018年卒採用では4月に前倒しするように経団連に申し入れることはありませんか。
まったく考えていない。昨年、ギリギリのタイミングで就職問題懇談会と経団連が歩み寄ることができた。両者の間に立った私としては合意内容を守っていただきたいと思う。まず「3月に会社説明会の解禁、6月に選考解禁」をやってみてから判断する。
中小企業家同友会、新経済連盟、日本商工会議所など経団連以外の経済団体も経団連と同じスケジュールで活動してほしい。残念ながら外資系企業との足並みはそろわないが、本社が海外にあるので仕方がない。
――各大学で就職指導は十分に行われていると思いますか。
各大学での就職指導を高く評価している。各大学はキャリアセンターを設置して、学生の指導に力を入れている。最近まで専修大学のレスリング部の監督を務めていたが、学生達が3年生になると大学内のさまざまな就職セミナーに参加し、就職意識を高めるのを見ていた。学生のニーズに合わせて、さらに就職指導を強化してほしい。
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