「死んだ時間」が、難関入試の分水嶺になる 勉強の「量」や「時間」にこだわる生徒は危ない

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5.勉強の進度と方向性について、1カ月ごとの目標を明確にしている。
期限を切らねばダラダラしてしまう、目標なきところに成功がない、と分かっている。目標は1週間では短すぎ、1年では長すぎると考えている。
6.不得意分野の集中治療に連休などを活用し取組んでいる。
不得意分野があれば受験で不利なのは当たり前である。学習にメリハリをつけることで、それを克服しようとしている。
7.早寝早起きで、毎日7時間は睡眠をとっている。
よく眠らねば頭脳は機能せず、日中の効率性は低下してしまう。そのような状態で起きていても意味がないことを理解している。

 

難関医学部(これは何も医学部に限らないが)に合格する子どもの特徴を7つ記したが、中でも私が最も重要であり、早期に培ってほしいと考えているのが1~4の姿勢である。そこでこの4項目の重要性を実証する話を、現場の体験として補足しておきたい。

「今日は○ページ進めた」が口癖だと、危ない

先日、今年の入試で国立の医学部に合格した教え子と話す機会があった。その教え子に「どうしたら、きみのように成績が上がり、合格できるのか」と単刀直入に尋ねてみた。すると、教え子は「ずい分ストレートな質問ですね」と笑いつつも、「勉強を漫然とやらないことが重要だと思います」と断言し、こんなエピソードを披露してくれた。

「まわりを見わたすと、さまざまな勉強スタイルの人がいましたが、大きく2つに分かれていたように思います。

1つめは『昨日は数学を4時間勉強した』とか『数学の参考書を何ページ進めた』と、時間や量のことを言う人。もう一方は、『この分子生物学の理論的な仕組みは、根本原理がこうなっているからこうなるんだな』というような発言をする人です。後者の人たちは何時間勉強したとか、どのぐらい参考書のページが進んだとかに固執せず、公言もしません。

私は周りの受験生を観察する中で、難関に合格していく人たちは、おおむね後者に分類されるということに気づきました。もちろん、前者に分類される人たちが、まったく受からないわけではありません。でも、合格者の傾向としては後者。私自身もどちらかというと、後者に属します」

次ページ多くの生徒が陥りがちな「死んだ時間」
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